見上げる空わ

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見上げる空わ

 蒼い雲を見つけました  不鮮明な光を宿した  眩しくも寂しげな雲です  それは霧散する雲合に閉じ込められたモノかもしれないし  青空を映した雫の塊で、鏡のような虚ろなモノかもしれない  頭上に覆い被さる空の彩りを見つけると  地球は蒼いんだと  全ての地上は繋がっているのだと・・・  自分は  若しかしたらどこまでも行けるんじゃないか――  回遊する鳥の不自由さを忘れている訳でもないけど  地面を歩ける安心を実感し続けている訳でもないけれど  やっぱり、可能性だけは無限なんだ  雲が流れていくのを見つめると  少しだけ自由を思い出せる  雲が消えていくのを見つけると  少しだけ嫌な事を忘れられる  風は何も消し去ってはくれない  雨は何も洗い流してはくれない  風はただそこに  雨はただそこに  雲をその隙間に  蒼い色を  私達は見失っている時がある  冷たくもあり  涼しくもある  雲と、風と、雨  時々太陽の眩しさに忘れてしまう事もあるけれど  何時もここにある筈の空を意識しない日常は、ここにある  多分、きっと、恐らく  蒼い雲はそんな心寂(うらさび)しい空の破片なんだろう――と  私は、思った
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