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4.
彼女と初めて出会った翌日、化学の授業があった。化学は合同授業で隣のクラスの生徒達と共に行う授業だ。
班ごとに席に着くが僕等の班は出席番号が最後の班の為、他の班よりも人数が少ない。道に迷ったのか、はたまた別の理由なのか分からなかったけど、授業開始のベルよりも遅くにやって来た六宮さんは教室の前方で立ち尽くした。
転校してきたばかりの彼女の席は用意されていない。化学教師も彼女の存在を忘れていたようで戸惑っていた。
「僕らの班一人少ないので、良かったらこの班に入れてあげてください」
気付けば僕はそんな事を口走っていた。化学教師も頷き六宮さんとは同じ班になった。
テーブルを挟んで僕の前に座った彼女は、長い前髪で表情がよく見えない。何を考えているのか全く分からない。正直気味の悪い女子だと思った。
その後も彼女は一言も発することなく授業は終わった。
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