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インディゴブルーのビー玉
この街に越してきて、新たに仕事を探さないといけないのは分かってた。
だけど......どうしてもそんな気にならなくて。
お母さんたちと暮らし始めれば、色々気にし過ぎるのも治るかな?って思ってたけど、ダメだった。
みんなで暮らしたら今度は......共同で使うものが気になるんだ。家族なのに。
そんな中、お母さんと妹に病院をすすめられて......通院するようになって......
薬で状態を改善することはできたけれど、だからといって働きに行けるわけでもなく......鬱状態になると自傷行為もしちゃってた。
そんなある時、クリニックの先生から、生活訓練の場があることを教えてもらって、市役所に話を聞きに行ったの。
私、こんな感じで不特定多数の人が集まる場所が苦手になっちゃったから悩んだけれど......
何度か見学に行ってみて、思い切って通所を決めたの。
それがきっかけ。
もちろんあそこ、利用者も色んな人いるけれど、だけどそんな中、みんなと会えて本当に良かった、って思ってる」
上田さんは目を細めながら遠くを見つめるようにして、テーブルの上に無造作に置かれていたインディゴブルーのビー玉を軽く、はじいた。
ビー玉はコロコロコロ......と流れるように動き、隣にいる......青葉さんの手に軽く当たった。
「じゃ、次は青葉さんね」
上田さんは青葉さんに話を振った。
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