第一章 少年、カロ

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 カロが家に着いたのは夕暮れの時を廻り、もうあたりは真っ暗だった。カロの持つカンテラの光だけが、集落の外れの館の窓に、ちらちらと鏡に映るが如く、反射する。  そして息を整え、玄関の扉を開けた。 「遅いぞ、カロ」 「ただいま帰りました、父上」 「挨拶だけはいいな、お前は。はやく飯を食え。俺はもう済ましたぞ」 「はい、父上」  カロは無表情でそう答えると、自分の部屋に荷物を置きに向かった。  その背中に父の声が飛ぶ。 「また図書館に行って、詩を書いていたのか」 カロはびくりとして足を止めた。 「それでは、学業の成績が上がるはずも無いな。言わずもがなだ」 「父上…次の試験では頑張ります」 「俺が言いたいのはそこじゃない!!」  急に声音を甲高く父は怒鳴った。カロの想像通りだった。
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