第一章 少年、カロ

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 …カロは目を覚ました。夕食も摂らず、ベッドによこになったまま、寝込んでしまったようだった。途端に空腹を覚え、カロはもう父も寝静まったであろう階下に足を運ぶことにした。冷えたパンにチーズくらいはあるだろう。  そのとき、ちら、とカロの目をなにかが横切った。窓の外に、ちらりと、赤い灯が走った、よう、な気がした。いや気のせいでは無かった。  たしかに館の外の畑の中に、ちいさな灯りがちらり、ちらりと見え隠れする。泥棒?…それとも…??恐怖もあったが、それよりも、カロの中では少年らしい好奇心が勝った。カロもカンテラを持つと、館の外に出た。  見間違えでは無かった。ちら、ちら。灯りが揺れている。  あの光もカンテラだろうか。だとしたら、人数は、ひとり?  なら、そんなに恐れることも無い。とはいえ一応、短剣は手にしてはいたが。やがてちらちらとしていた光が動かなくなった。  カロは畑の後ろから回り込むような格好で、その光に向かって忍び寄った。 そして背後から一気に駆け寄ると、ぼんやりと見える人影に向かって叫んだ。 「誰だ??!」
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