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これではどちらが店長かわかったものでないが、クソ野郎の言うことにも一理ある。あたしは慌てて店内からよく冷えたジュースを5本用意すると、それをレジの前で待っていたお客さんたちに配る。そして今ままで一番丁寧かつ迅速に会計処理を済ませていったのであった。
「ふぅ…」
と、あたしが一息ついたのはおっさんが店を去ってから実に30分ほど後のことであった。レジに並ぶお客さんの会計を一人済ませるとすぐさままた一人並ぶ、なんてループを繰り返しているうちに気がつけばそんな時間が経過していたのである。
「お疲れ」
ぶっきらぼうにそう言ってきたクソ野郎にあたしは「そっちもね」と返す。それからフッと思い立ち言葉を続ける。「それにしても、あんた今日はまた一段とキレてたねぇ」
あたしの言葉にクソ野郎はフンと鼻を鳴らす。
「当たり前だ。人間如きが本物の神であるぼくの前で自らを『神』などと称する不敬を犯したんだ。当然、怒りと相応の罰を与えねばならぬだろう?」
「怒り、は、ともかくとして罰なんて与えていた?」
不思議に思いあたしがそう尋ねるとクソ野郎はカラカラと笑う。
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