店員様は神様です!

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店員様は神様です!

「だーかーらー、ヨォ!!?」  40代の半ばほどと思しき、スーツ姿の中年男が口角飛ばさんばかりにそう言った。 「タバコの銘柄くらい覚えておけよ、お前コンビニの店員なんだろう?」  その言葉を聞くのはこれで三度目だ。あたしは一瞬自分が時間ループものの登場人物になったのかと錯覚する。だが、店内の時計を見れば時間は先ほど確認した時より15分進んでいたのでループしてるのはおっさんの発言だけのようである。 ………全然、嬉しくない事実だが。つーか、この親父15分も同じを延々話してるのか!?? いや、さすがに長すぎるだろう!?ボケてるの、もしかして!?? などと、あたしが益体ことを考えていると、 「おい!お前、話聞いてるのか?はぁ・・・」  と、おっさんはわざとらしく大きなため息を吐いた。いや、ため息吐きたいのは私の方である。いくら暇な時間帯とはいえ15分もレジ一つ潰されては、そろそろお客さんが詰まってきている。 『助けてヨ』と思って、隣のレジで延々と客のクレームを聞いてるあたしの代わりに列なすお客さんたちを捌き続けるギリシア彫刻のように整った男の横顔をチラリと見る。
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