流星アプリ

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 どこかの公園に行こうか、レンタカーを借りてしまおうか。  あれやこれやと相談しあって、私たちは結局、なほの家に集まることにした。  遊びに行くのは初めてだけれど、大学から一時間程度、都心からほどよく遠ざかったベッドタウンで一人暮らしをしていると聞いていたからだ。 「なんか、すごいね」  オートロック完備、最上階の角部屋、広々としたルーフバルコニー。  到着するなりぽかんとしてしまった私とことはをよそに、なほが「残念ながら、親のお金」と溜め息をつく。 「いいなあ」 「感謝はしてるけど、過保護は過保護で嫌になることも結構あるよ」  気の利いた返しができず、そうなんだねと曖昧に返事をしている内に「ほら、準備しよ。始まっちゃう」となほがバルコニーに出ていく。 「はやせはさ、東京でこのまま就職するの?」 「まあうん。どうだろ、多分。ことはは?」 「うちは帰ってこいってうるさくて……あー残念、二十三パー」 「なほはどうするか決めてる?」 「ん、まだあんまり」  こっちは十七。流れ星は結構見えるけど、微妙だね。  ルーフバルコニーに横になり、漠然とした将来であるとか、学校のことであるとかを喋りながら、アプリを覗いては確率を口にしあう。  空には雲一つなく、少し街明かりが気にはなるものの、それなりに流れ星を見つけることができた。  願いの叶う確率とやらは高くなく、どちらかというとおしゃべりがメインになってきている。 「うちさ、親が会社やってて」ぽつりとなほが言う。 「縛りがきついんだよね。このマンションとかもそうだけど、ありがた迷惑っていうかさ」 「正直、うらやましい」本音を返したつもりだったけれど、なほは鼻で笑うだけだった。  ことははアプリに次々と映し出される数値に一生懸命のようだ。 「あーあ、世界が消えてなくなりますように」 「やめてよ、アプリ使ってるんだし」 「あれ、はやせ、実は意外と信じてた?」 「完全には信じてないけど、なんか嫌じゃない?」 「信じてないならいいでしょ。怖いの?」  やけに突っかかるなほに、だんだん腹が立ってくる。 「あのさ。家の事情とか、色々あるのかもしれないけど、ちょっと嫌な感じじゃない?」 「何が」 「なほの悩みは贅沢だと思う」 「そうかもね」
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