僕の胃袋は彼女に呼び出しをくらう

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 思い出しただけで腹が立ってきた。  その後椎度は、ネットであの忌々(いまいま)しい音を拾ってきて、僕が『スイカ』という言葉をいうたびに鳴らしてくるのだ。  それを授業中までやるのは本当にやめてほしい。 「腹が立つ。これだから君は嫌いなんだ」 「腹が立つの? それはどんな状態? 腹が立ったら起き上がる。それは膨れているって意味なのかな? 腹には何が入っているのかな?」 「うるさいなぁ!」  バス停から離れ、歩いて帰ることにした。  自宅までは歩いて1時間程度の距離で、別にバスでなくても帰れないわけではない。 「ついてくるな! あっちいけ!」 「あっちいけっていわれても、私の家もこっちだし」 「な、バスに乗るんだろ? バス停はあっちだ」 「歩いて帰るの?」 「ああそうだ」 「じゃあ私も」  僕の隣に並んでくる。歩くスピードを早めてもそれについてきて、腕を振って笑顔で並走してくる。
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