僕の胃袋は彼女に呼び出しをくらう

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「バスってSuica使えたっけ?」 「僕は絶対に答えないからな」  高校の帰り、僕は知人の椎度(しいど)とバスを待っていた。  椎度は小柄でショートヘアー、肌は白くインドア派。顔は整っていて一応かわいい部類に入る、一応。  無駄に大きなリュックを背負っていて、バスに乗るのに邪魔だと何回いってもやめない。  リュックが椎度を背負っているようだった。  それに加え、僕をからかうように「スイカ」という単語をわざと入れてくる。  高校からの付き合いでまだ日が浅いのに、遠慮がない。 「ごめんごめん。最近物忘れが激しくって。曜日まで忘れてしまうの」 「どうせ今日は水曜日だから」  ポケットからメモ帳を取り出した。書き殴り、椎度の前に掲げた。 『そうだ、今日は水か』 「っていうんだろ?」 「いや、水はWaterだからメロンが食べたくなるよねってさ」 「本当に嫌な奴だ」 「ふふふ」
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