僕の胃袋は彼女に呼び出しをくらう

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 僕がいくら拒否をしても必ず一緒に登下校する。ある時は家の前で何時間も待ち伏せしていたり、帰りは走って追いかけてくる。  一度、わざと上履きで帰った時はすぐにバレてしまった。どうしてわかったのかは知らないが、きっと僕を監視しているんだ。  そして僕をからかって楽しんでる。そうに違いない。 「それより、最近若者語で『どんだけ』っていったら必ず返す決まり文句があるらしいよ。知ってます?」 「ふん。今度こそ引っかからないぞ。答えは知っている。『いかほど』だ。つまり、君は『いかほどだろ?』と答えさせて」 『知ってます? いかほどだろ?』 「繋げてスイカ。まったく浅はかなもんだな」 「はい、正解」  にたっと笑顔で携帯を掲げた。そして。  ピンポーン。 「うぅぇ」  途端、みぞおちあたりからテニスボールのようなものが這い上がってくる。押し出そうと喉を圧迫し、鼻からしか息だできない。  僕は吐き出すほかどうしようもなかった。 「うんうん、今日もいいね」  いつの間にか手袋をはめて、その出てきた物体を手にとり眺めていた。  小さなスイカだった。 「ふふ、説明ありがとう。君の口からやっとスイカって単語が出たね」  そして背負っていた鞄の中に入れていた。
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