僕の胃袋は彼女に呼び出しをくらう

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 昔、スイカを食べていた時の話。種を飲み込むと『お腹にスイカができる』と母に冗談をいわれたことがあった。  僕はそれからスイカが食べれなくなったし、むしろ嫌いにもなった。  あれ以降スイカを食べてはいない。  なのに、あるとき異変が起きた。  サイゼリアに椎度が現れたときのこと。辛いチキンやシナモンのパン、牛筋の洒落たやつなど美味しそうなメニューが並ぶ中、『夏限定! 売り切れゴメン!』と書かれてたスイカがあった。  それを見た途端に僕はおかしくなった。  息が喉元で止まり、それ以上いかない。汗が噴き出し、お腹が重く、下から引っ張られるような感覚に陥った。  気づいていない椎度がメニューを決め、ボタンを押した。  ピンポーン  瞬間、僕の口から吐き出されたのは小さなスイカのようなものだった。  胸が圧迫されたように痛い。無呼吸状態が数秒ほど続き、やっと落ち着いた頃。 「遅いな〜」  椎度がもう一度ボタンを押した。  ピンポーン 「うぅぇ」  そして2回目にしてやっと椎度は、僕の異変に気づいた。心配してくれるかと思いきや。
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