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疑惑の御令嬢
翌日、また屋敷の近くに侵入者が出た。
今度は貴婦人だったが、それも関係無くリーリエは拘束を命じる。
ヴェルシュに捕えられた女にムササビについて問いかけるも返事は無く、今日もまた無慈悲に鉄槌を下す。
「とびきり苦い珈琲をいただくわ」
その合図で、相変わらず温かく苦い珈琲が出される。
ヴェルシュもまた手袋をつけたまま女の身体を弄るが、ムササビに繋がる物は何も出ず首を横に振った。
「死体の数もそろそろ200はいきそうですね。それでもまだ繋がりも見つけられないなんて……」
「減らず口を叩かなくていいから、さっさと死体を処理しなさい」
動じる事なく珈琲を堪能するリーリエだったが、今日は一段と苦く感じて少し顔を歪ませた。
処理も終わり昼食を取ろうと食堂へと向かったのだが、そこで他のメイドが何かを運ぼうとしている事に気付く。
トレイに乗せられた食器には、全て料理が乗っている。
「拘束してる傭兵の分ですよ」
どこから現れたのか、ヴェルシュがすかさず説明を入れた。
少し忘れかけていたのだが、思い出してしまうとやけに気になって仕方が無い。
昼食の席に着かず、そのメイドの方へと駆け寄った。
「それは、どこに持って行くのだ?」
「えっ?2階の1番奥の部屋ですけど……」
「アタシが持って行く」
突然始めたリーリエの謎の行動にヴェルシュ含む全員が止めようとしたが、そんな言葉など一切耳を傾ける事なくトレイを奪い取り2階への階段を上り始めた。
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