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3階建ての屋敷の2階部分は、メイドや執事の部屋もあるが大半は客室として使われてる為殆ど空き部屋だった。
その2階の1番奥の部屋は、2階の部屋で1番広い場所。
いい所に拘束して貰っているなと若干不服そうな表情を浮かべつつ、屋敷に住まう全員が持ってる合鍵で扉の鍵を開けた。
扉を開けると、ベッドで眠るアトリの姿が。
まだ寝ている事に呆れつつ料理を運ぶと、物音で目が覚めたのかベッドから勢いよく飛び起きてきた。
「きゃああ!!」
軽く悲鳴をあげたリーリエの声に、アトリも思わず驚く。
「あれ、君は……」
「料理を運んでやっただけだ。ありがたく思え」
若干警戒しているのを余所に、全く警戒心の無い満面の笑みで料理に食らいつくアトリの姿が見える。
この人は本当に傭兵なのだろうか?
疑問を浮かべつつも、恐る恐る声をかけた。
「傭兵だって、言ってたな?」
「ん?そうさ、まだ見習いだけどイスタニア王国で傭兵稼業をやってる」
イスタニア王国、場所こそは知らないがかつて父が所属していた騎士団がある国だという事は知っていた。
ここから遠い場所で、世界一広い国らしい。
「ムササビという名前の人物に、心当たりは?」
その質問に一旦食事の手が止まり、手を組んで考え始める。
だがすぐに出た答えは「知らない」だった。
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