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「何だよ、そいつを探してるのか?」
今度は逆に質問を投げかけられる。
流石に無視してしまうのは無礼だと思ったのか、きちんと答えた。
「2年前、貴様と会った場所で両親が死んだ。殺されたのだ、ムササビという男に」
「死んだのか、両方とも」
「左手の甲の部分に刺青をした男に、首を切られてね。それ以来そいつを追っているんだ」
「だからって、あんな場所で簡単に人の首をはねるのか?」
飯を食らいながら指さしたのは、窓の方。
確かにここの部屋からなら、今日首をはねた場所は見えたはず。
料理を運んできた時に寝ぼける事なく飛び起きたのは、眠ってなどいなかったからだった。
「お前、アタシの噂を何も知らないのか?」
「噂?」
「屋敷に近付く者は全て首をはねる、悪魔に心を売った女だと言われてるんだぞ?」
「え?それじゃそれ君の事?」
鈍感なのか、アトリは全く気付いていなかった。
むしろここで、最悪の事実を知る。
「傭兵団に依頼されたんだ、屋敷の悪魔を殺してくれと」
アトリも、信頼してはいけない敵だった。
普段なら何も動じないリーリエも、何故か酷くショックを受け滝の様に汗が流れ始める。
どうしようと慌て始めるが、アトリは全く気にしていない様子だった。
「安心しろ、俺はお前を殺さない」
その言葉が、更にリーリエの頭を困惑させた。
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