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スティファニーは、南風に自分の髪が靡いている事に気付いた。耳元で風が呻っていた。自分の足元に目をやる。それまでジオラマに見えていたニューヨークシティが音を立て動き出した。
――きゃっ、私……。
身体が夜景の中に吸い込まれる様で恐怖に足が震えていた。ガシャ、ガシャと言うフェンスが軋む音がやけに大きく聞こえていた。
――私……。
スティファニーは道化師を見た。
道化師の顔は泣きながら笑っていた。彼は白い両方の手を彼女に差し出し、片方の膝をついて手招きをした。
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スティファニーの両方の足が地面を感じていた。辺りを見渡す。彼女の足元には大きなバラの花束があった。
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