序章 白百合の誓約

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 頭上から声が聞こえ、悪魔が顔を仰ぐと、そこには悪魔の知り合いの悪魔()がいました。  悪魔と彼はそれ程仲は良くはないのですが、彼は会うたびにしつこく悪魔に話しかけてくる、変わり者の悪魔でした。 「天使になりたい、天使になりたいって、君は悪魔なんだから、天使になんてなれるわけないでしょ? いい加減、諦めたら?」  彼は人形のように美しく整った顔に皮肉な笑み浮かべて、そう言いました。 「……ふん」  悪魔は口をきつく結び、馬鹿にされて言い返してやりたい気持ちをぐっと堪えます。  悪魔だって、そんなことは分かっていました。でも、どうしても、天使の翼が欲しかったのです。 「ねえ、これから暇? 一緒に人間狩りに行こうよ?」  彼は先程までの表情と打って変わって、子供のように無邪気な笑顔を浮かべると、悪魔を狩りに誘いました。  悪魔は黙り込んで無視を決め込みましたが、彼は気にすること無く、話し続けます。
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