18人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
頭上から声が聞こえ、悪魔が顔を仰ぐと、そこには悪魔の知り合いの悪魔がいました。
悪魔と彼はそれ程仲は良くはないのですが、彼は会うたびにしつこく悪魔に話しかけてくる、変わり者の悪魔でした。
「天使になりたい、天使になりたいって、君は悪魔なんだから、天使になんてなれるわけないでしょ? いい加減、諦めたら?」
彼は人形のように美しく整った顔に皮肉な笑み浮かべて、そう言いました。
「……ふん」
悪魔は口をきつく結び、馬鹿にされて言い返してやりたい気持ちをぐっと堪えます。
悪魔だって、そんなことは分かっていました。でも、どうしても、天使の翼が欲しかったのです。
「ねえ、これから暇? 一緒に人間狩りに行こうよ?」
彼は先程までの表情と打って変わって、子供のように無邪気な笑顔を浮かべると、悪魔を狩りに誘いました。
悪魔は黙り込んで無視を決め込みましたが、彼は気にすること無く、話し続けます。
最初のコメントを投稿しよう!