無数の光がぼくをつなぐ

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「もう一度、選択してみませんか?」 目の前の小さな子どもはそう言った。奇妙な子どもだった。 グレーのパーカーのフードを深くかぶって、顔は見えない。 はじめは小学生の男子かと思ったのに、話をする口調は、老人のようにしわがれて老成していた。 「右に行けば、あなたはあなたの人生に戻れる。それは望まないことの連続ばかりかもしれない道です。でも左に行けば、あなたはあなたが選んだ人生から解放される。ゆっくりと休むことができる」 さあどうしますか? と正面の子ども老人は言って、両手を体の左右に広げた。 フードの奥の目は隠れて見えない。でも確かにぼくを見ている。 どうやら彼の立つ地点を境にぼくから見て右に行けば生き返れるらしい。そして左を選べば、ぼくは、自分が決めたとおりに人生を終わりにすることができる。 それなら、ぼくはためらうことなく、やっぱり左を選びたい。
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