#2 全部背負うだけだ。

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#2 全部背負うだけだ。

#2 もし俺が本当にやりたいことを、 見つける日が来たら、 この腐った世界を創り変えたい。 心の中にずっと閉じ込めていた感情は、 全てを諦めていたけれど… 最近 みんなとの関わりでやっと動き出した気がしていた。 でも、 ひとつだけ変わらないって信じてたけど… ずっとずっと、 なりたかった… 誰かの 「   」に… だから… 後は俺が、 全部背負うだけだ。 …… ゆかりと2人暗い死角にあるマンホールから内部へ入り、工場の奥まで進んできていた… カツンッと音がすると、 「あまり音を立てないで」 なんて、ゆかりが殺気立ちながら俺に行った… 正直、10人くらいどうって事ないだろ。 そんなふうに思っている俺とは大違いだ。 「なぁ、手分けしようぜ…」 ゆかりにそう言いながら違う道を歩こうとすると、正面を阻まれる。 「いけません」 と言われたが…ゆかりを無視して他の道を進む。 「春輝!」と呼ばれたがどうでもいい。 10人くらい一人でどうにでもできるからだ。 「では、ワタクシもそちらに…」 「来んなよ…まだお前のこと許してねぇから」 突き放すように言うと、 ゆかりは大人しく違う道を歩いて行った。 これでいい… 実は、こっから先の道が当たりの道だと、 デビルから来ていた… 地図で俺だけが知っている情報だ。 俺がある程度出来ることなら相手数を減らせばいい… ピピッ と小さな音が耳につく。 …「!?」 まずい、おそらくだが赤外線が何か… ドスッと体に何かが突き刺さり急に痛みを感じた、 細い針のような何か… これは… 痛みのする箇所から血が滲む。 刺さる針を勢いよく引き抜いて 地面に投げる… イテェな… カラカラと針が地面を転がる。 「しぶとい鼠のようだ…」 スッと目の前には黒い服の男が現れる。 急激なフラつきで顔が見えない。 「なんだよ、卑怯じゃん…」 ダメだ…目が開かない。 思わず地面に頭がついていた。 声は出るが、視界がぼやける。 睡眠薬か? 「…きっとお前も快楽に溺れれば、我々の仲間になるだろう」 「なにいっ…!!?!」 ドッと腕に針が刺さるのを感じた、 思わず叫びそうだったが、 服の襟元を噛んで耐えた。 ゆかりが声に気づいてもまずい… 耐えろ… 「…連れて行け」 そう声が聞こえてくる頃には世界が暗くなって行った… 優しい音色が聞こえてくる… ピアノだろうか…クラシックか… 甘い香りがする… 脳が暖かい。 不思議な気分だ… この曲なんだっけ、 確か昔よく流れてて聞いたことがある… … ハッと目が覚めると縄が身体中に食い込んでいた… しまった… 捕まってしまった。 あたりを見渡すと 工場の一室に似合わず優雅に蓄音機が置いてあった…そこに黒い服の帽子をかぶった男が髭を触ってレコードを眺めている。 レコードから俺に視線がうつってきた。 「やぁ、起きたかね…どうかな?…うまくいかないと暴れる奴もいるんだ…」 男はニヤニヤと笑いながら俺に近づいてきた。 「何の話し…」 と言いかけて気付いた… あの時まさか俺の体に薬を打ったのか… だから変な感じがしたんだ。 「意志が強いのかな?」 男はポケットから更に注射器を取り出す。 縛りつけられていて逃げ場がない。 考えろ、考えるんだ… 「…何でこんなことしてんだ」 「それはこっちの台詞だよ、なんでここに来たんだい?鷹左右春輝くん」 ゾッとした… 名前まで知ってるとなれば、 ある程度俺のことは調査済みか… でも、なんでだ? スッと先程よりも簡単に注射器が刺される。 俺が全く動じないからだろう。 怪訝な顔をした。 「怖くは無いのかね?」 男は笑顔で俺に問う。 こんなもの怖くもなんとも無い。 大丈夫、死ぬわけじゃない。 その瞬間、ドクンッと心臓が音を立てたような気がした気持ちが悪い。 身体中が熱くなってくる。 今縛られてるこの形なら足はかろうじて動くか… このままじゃまずいかもな… 男の足を無理やり絡めてグッと地面に叩きつけるよう引きあげると、男は勢いよく後ろに倒れ呻いた。 その反動か男がいろんなものをひっくり返し花瓶が割れる。 あれだ!破片が欲しい… なんとか身を転がし片手が少し切れたが花瓶の切れ端で縄を解く。 「くそッ!」 男が頭から血を流していたが抑えながら俺に銃口を向けていた。 ゆっくり男に近づいていくと、明らかに男は顔が真っ青で手元が弱く震えていた。 あれじゃ俺には当たらない… 当たったとしても掠るぐらいか… 銃に手を添えると「ヒッ」と鳴いた。 やっぱり変だ… さっきまであんなにイキッてた癖に… これが薬の力なのか? 銃口を男の方に向かせた。 「怖いんなら、はじめから人に銃口向けてんじゃねぇよ」 「あ、、、あぁあ…ごめんなさい、ごめんなさい」 男は急に泣き出してカチリと自分に銃を突き立てる…ヤバイ、これは… 「待て!!!!!!」 俺の言葉より早くズガンッと音が響く。 自殺かよ、最悪だな。 自分の体に降りかかる真っ赤な血… 俺じゃない… でも、これじゃ言い逃れが出来ない。 「ふざけんなよ…」 人が目の前で死ぬとこは何度か見たことがあったから、対してなんの感情も湧いてこない。 ただ… 「てめぇ!!!!」 やはり、音を聞きつけた仲間が来たか… ザッと男達が俺に向かってくるが… なんだ?二重に見える…? なんとか交わすが視界が変だ… 思わずサングラスをポケットにしまったが、 やっぱり変わらない… 「ちょこまか逃げてんじゃねぇ!人殺しが!!!」 俺がやったわけじゃないが、 なんだか苛ついてくる。 「残念だけど、そいつは自殺…てか俺に喧嘩売るの100万年早いんじゃない?」 ガンッと男を蹴り飛ばすと、 異常なまでにそいつが吹き飛んだ。 おかしい…今そんなに俺力入れたか? その瞬間、胃の中かなんかわからないが血の味が口いっぱいに広がり俺はむせ返って血を吐いた。 「うぇ…まず…なにこれ…」 血の味が苦い…なんか違う… 味覚までおかしい…ポケットを漁って飴を口に入れたが桜味が酸っぱく感じた… 「やべぇ…」 思わず飴を放り投げる。 カランカランと音を立てて飴が転がるが、 やっぱり二重に見えた。 「何だこれは!!!!」 「お前!」 二人組の男が入ってきた… 確か星那ちゃんを連れ去ろうとしていた奴らだ… 変な気分だ…別に敵意は無いのに。 「ウザ…」 イライラする…全員いなくなって欲しい、 消えてくれ、今は1人になりたい。 そうでなければ… 「クソが!!!」 男は俺の顔面を殴ってくる、思わず受け身すらとってなくて、俺にヒットした… 頭の中がぼんやりする。 でもなんだ?顔面をくらったのに… おかしい…痛くない。 「ハッ、弱すぎじゃん?やったらやり返すよ?」 俺がバンッと勢いよく壁を殴るとハラハラ壁面の塗装が剥がれて腕から血が出てきた… 痛くない… 血が出た手を舐めるが苦い。 やっぱり血は苦い。 「まっず…」 俺が味を確かめてると、 雄叫びを上げて男2人が俺に向かってくる、 しかも拳銃まで構えて… 「何でもかんでも銃に頼ってばっかなんだ…そんなに大事なの?…それ頂戴よ♡」 2人の動きを交わし、近くにあった鉄の棒で腕を叩き落とす。 力を入れたつもりじゃないのにゴギッと嫌な音がする。 折れた…よな… 男達の腕が多分悪い位置に入って折れたんだ… 呻きながら2人は地面に転がった。 気持ちがいい。 「ゴキブリじゃん」 ゴンッと1人の頭を蹴飛ばすと気を失うのがわかった…やっと視界も良好になって拳銃を手に持つ。 「いや、や、ごめんなさ、、許してください…」 震えながら残った男は俺に頭を下げていた。 やっぱりおかしい…こんな簡単にいくもんか? 「お前は、この銃で何人殺した?」 「…さん、さんです…3人」 「へぇ…どうだった?」 「え?」 男が顔をあげたので銃口を近づける。 「殺さないで…」 違う、違う、撃つな…俺は… 手が震えた…なんで… なんか撃ちたい、… 気持ちがいいかもしれない。 いや、そんな事はない… 「やめろよ…」 カチリとしっかり頭に狙いを定めた。 男は泣きながら「ごめんなさい」しか繰り返さない… やめろ、違う……!! 唇を噛み締めて血が滲むのを感じだ、 外せ、外せ…当てるな…!!!! 引き金を引いた瞬間、 ズガンッという銃音が響く。 「ッ!!!」 男の声はしない…何が起きた? しかも急に身体中に痛みが走った… さっきまでこんな痛くなかった… 感覚が…戻ったのか? … 「…どんな状況でも、人を殺しては…なりません!!!!」 目を開けるとそこには、ゆかりがいた… 足から大量の血を流している… 俺が…俺が…撃ったのか? 当たったのか? 「ゆ…ゆかり…」 頭が痛い…なんでだ? なんで俺は…撃ったんだ…? そんなつもりじゃなかった… 巽先輩とのやりとりを不意に思い出す。 『マジで銃はキツイ、傷の治りも遅いし』 そう言っていたっけ… ごめんなさい、俺は… 人を… 「やっぱり春輝は…優しいのね…」 ゆかりは足を押さえながら息も絶え絶えに言った。 手などに傷がある… ここに来るまでに何人かやったのか… 「ゆかり、俺…」 「わかってます、薬のせいでしょう…焦点がおかしいですわ…逃げましょう…欲しかったものは手に入れましたわ」 ゆかりが俺にUSBを渡してくる。 壊滅状態に近い奴ら鬼火組がなぜ拡大しているか…この中に秘密があるはずだ… 「1人逃げられました…このままじゃ…」 どうやら、ここに何人も見回りに出ていた奴らが戻ってくる… 「嫌っ!!!!」 星那ちゃんの声が弾けるように響いて、 ハッとして、ゆかりと俺が扉の方を向くと、 豪ちゃんが星那ちゃんの目を覆っていた。 「なんなのよ、アンタたち…これ…」 「…急いで行きましょう…もう終わりましたから…」 ゆかりは足をギュッと止血する。 ぼたぼたと垂れている血に不安がよぎる。 「…ごめん…」 駄目だ立ち上がれねぇ… 頭を冷やしたい… 「すぐ行くから先いってて…」 「何馬鹿いってんの!一緒に…」 豪ちゃんが俺を連れて行こうとするが、 「行きましょう、春輝は正常だわ…大丈夫」 ゆかりが口を挟む、 まさか許されるとは思わなかった… 「必ず帰りなさい…」 そう言うゆかりは豪ちゃんに支えられた。 「ゆかり…さん…足が…」 星那ちゃんは目を真っ赤にして泣いていた。 それは俺がやってしまったものだ… 危うく人殺しになるところだった… 3人が過ぎ去るのを見ながら俺はUSBを握りしめる。 ごめんな。 …まだ、…まだ…やることがある。 ハッキリしてきた意識の中、 ポケットからチェリーの味の飴を取り出した…口に含むと甘い味が広がる。 ……わかってる、必ず帰るよ。 戻ってきた味覚や視界… 感覚を確かめながら、 俺は、ある一室に向かって歩き出した… ……… 「ゆかりさん、…ゆかりさん…」 思わず胸が苦しくて何回も名前を呼ぶ… 腕も足も痛そうな姿… こんな事になるなら… こんな未来なら、 「星那ちゃん大丈夫よ…もう彼らは来ないはずです…」 優しく私の頭を撫でてくれる。 代わりにぎゅっと、 ゆかりさんの体にしっかりと抱きついて支える。 「…アタシ、やっぱり戻るわ」 森の途中まで抜けて豪さんは立ち止まった。 確かに、なんだかいつもの春輝さんとは何処か違った感じがした… 「お願いしていいかしら、ワタクシなら大丈夫ですから…」 「わかったわ、星那ちゃんごめんね」 「大丈夫です、星那なら…真っ直ぐ行きます!」 森を真っ直ぐ抜ければ住宅がある… そこまで出たら電話で救急車を呼ぶ。 少し離れれば…大丈夫… ゆっくり自分にできることを探した。 「お願いね。」 そう言って豪さんは走り出す。 過ぎ去る姿を見送っていると、 ゆかりさんは私を急に背中側にぐっと寄せた。 「…全く、しぶといわ…」 ザッと草を掻き分けて4人、 私とゆかりさんを囲んで現れた… 「星那ちゃん…身を低くしていて」 「は、はい…」 ドキドキと胸が鳴る、ゆかりさんの背後に身を縮こませると、向こうから歩いてくる男が1人声をかけて来た。 「探してた女じゃねぇか…怪我したくなければ、鬼火星那を渡してもらおうか」 「嫌です」 即答でゆかりさんが答えた。 「そんな足で4人に勝てると思ってんのか?」 ドッと4人組の笑い声が響いた。 「馬鹿にしているのかもしれませんが…ワタクシ、…とても今、気分がよくってよ?…手加減しませんので」 凛とした声が響くと男達は笑うのをやめて、 ゆかりさんに向いた。 細長い鉄のパイプを持つ男がザッと駆け抜けて来る。 「嫌っ!」 と私は目を閉じそうになったが、それより早く、 ゆかりさんは綺麗にパイプを受け流し足を男の腕に絡め、ギュッと締め上げた。 その瞬間に鉄パイプを叩き落とすと即座に拾いあげる。 「…鳩尾」 ゴッとパイプが男のみぞおちに食い込む。 カッ…と苦しげに男は自分の首をおさえるようにして倒れ込んだ。 「息が苦しいでしょう?」 ゆかりさんは、パイプで男の首をトントンと叩く。 「テメェ!!!」 他の男が2人ほど向かって来ると、即座に身を翻し 「感情に流されては、なりませんよ…首元がガラ空きです」 ヒュンッとパイプが男達の喉に当たると、 2人は目をチカチカさせて、地面に倒れた。 ほんの一瞬の出来事に私は瞬きすら忘れていた。 「脳震盪が起きるかもしれませんが…軽くしておきましたから…」 と言ってるところで最後の1人が銃を構えて来る。 「…化け物…」 カタカタと最後の男が震えていた。 「…鬼火組のみられたくないであろうデータを全て抜かせていただきました…早く戻った方が良いと思いますわよ」 クソッと言って男は走って森の奥に向かっていく。 その瞬間、フワッとゆかりさんが地に足をつく… 「ゆかりさん!!!!!」 急いで駆け寄ると顔が真っ青だ… 血が出続けてるのに動いてたから… 早く、早くいかなきゃ… 「立てます、行きましょう…」 私はずっと森の中で悔しくて泣いていた。 お兄ちゃん… 星那は…本当に誰かの力になれてるのかな… 悔しいよ… 15分くらいは歩いた頃、 やっと一つの光が見えてきた… ゆかりさんの息遣いが本当に辛そうで… なんとかしなきゃ… なんとか… 「助けて…助けて………誰か!!!!!助けて!誰か!!!!」 思わず私は抜け出た光の先で叫んだ。 ここは…公園?? ちょっと道を間違えてしまったのか… 住宅街ではないし、 こんな夜中に人はいないかもしれない… でも誰か…助けて… 最早泣き叫ぶように私はゆかりさんを助けたいという気持ちだけが先行して叫び続けた 「星那…ちゃん?」 ふっと、目の前にあまり仲良くしていたわけではないがよく校内で見かけていた先輩の姿があった。 「タロ…先輩…」 思わずホッとして足が震え地面に座り込んだ。 隣で支えていた、ゆかりさんもそのまま倒れ込むような形になってしまう。 「…ゆ…ゆかりちゃん!??」 タロ先輩は私とゆかりさんに駆け寄って、 肩を支えてくれた。 安心する。 「助けてください、…どうしよう、ゆかりさんが…死んじゃう…助けて…」 思わずタロ先輩の服の袖をつかんだ。 「わかった、落ち着いて…星那ちゃん」 そう言ってくれるタロ先輩の優しさにまた涙が溢れて来た。 「ごめんなさいね、ワタクシなら大丈夫ですから…救急車を…」 「ゆかりちゃん…その足…」 「なんでもありません…ちょっと…ヘマをしたの…」 渇いた血の跡が生々しく、そんなヘマなんて言葉では絶対片づけられないだろう。 「わかった…今はそういう事にしとく、乗って…」 「ごめんなさいね」 ゆかりさんはタロ先輩の背中に乗ったが、 悔しそうな顔をしているのがわかった。 どうしてわかったかっていうのも… 人に頼るのをあまりしないから、 滅多にしないであろう唇を噛んでいる仕草が、 初めて人間らしさを感じて。 また涙腺が緩くなる。 「拓海!!!!」 タロ先輩が急に声を上げる。 目の前には、二本のジュースを持って歩いて来ていたであろう成宮先輩がいた… 思わずジュースを落とし、私たちの方に駆け寄って来る。 「なん…なんだよ…京極ちゃん…血が…」 「…成宮くん、大丈夫だから。」 ゆかりさんが、成宮先輩に微笑む。 でも星那にはその顔が複雑な笑顔に見えた。 今にも泣きそうな、ゆかりさん… きっと2人には見えてないかもしれない、 でもわかるよ。 「救急車を呼ぼう、階段降りないといけねぇし…まず安静なとこに移動だな」 「おう」 タロ先輩が言うと成宮先輩が相槌を打つように答えた… いつもの雰囲気とは違う… タロ先輩が凄く頼もしく見えた。 あれ…なんだろう… 「星那ちゃん!??」 安心からか、世界が遠のいていく。 嫌だな… いつも頑張り切れなくて… せっかく…ここまできたのに… 深く深く、 私は闇に落ちていった。 … チュンチュンと音がする… 暖かい… 手を誰かが繋いでくれてる。 なんだか懐かしい暖かさだな。 「早く目を覚ましてよ、星那…」 聞き覚えのある声。 お兄ちゃん? 「お…にいちゃん…」 「星那!?!」 フワッと抱きしめられる。 ここは…白い…病室… 「なんで?星那は……ゆかりさんは?」 「星那…よかった…星那…」 お兄ちゃんは泣いていた… どうやら私は2、3日眠り続けていたらしい… お兄ちゃんによると、 ゆかりさんは実家に連れ戻されたと言っていた。  「ごめんな、1人にしちゃって…」 「…本当だよ……お兄ちゃん…もう大丈夫なの?」 「…あぁ、大丈夫だよ…星那…聞いて欲しい」 病室では驚くべき話をされた… お兄ちゃんは、 ゆかりさんの別荘に匿ってもらっていたそうだ。 星那とはそこまで離れた場所ではない。 お金も全くかからず 面倒を見てくれていた… 更に星那とお兄ちゃんが住んでいたマンションを そのまま維持してくれていたらしい。 代わりに…お兄ちゃんはゆかりさんとある 取り引きをした… 「鬼火組の事を詮索したりしないように」 という話だったようで… まさかそんな事はしない… お兄ちゃんは、もしかしたら何か探したりしていたかもしれないけれど… そんな事の為に? どうして? 「2人が大好きだから」 ゆかりさんは、ただそれだけのために… 命をかけたの? 疑問ばかりが浮かんで携帯で連絡をする。 なかなか返事が来ない… 退院して、まるみ屋に行ってみたが… 閉鎖されていて入れない… ゆかりさん… どこへ行っちゃったの? お兄ちゃんと2人、 家で普通に暮らせる日常が戻って来た、 普通の夏休みだ… いままでが夢だったみたい… 春輝さんは? 春輝さん… 思わず電話をかけた。 お願い…出て… 『……星那ちゃん?久しぶり〜』 思わず泣きそうになってしまった。 「春輝さん!…無事で…よかった!!!…ゆかりさんは…」 『…ゆかりは実家に連れ戻されてるよ…ごめんね、中途半端な感じになっちゃって…』 なんだか元気の無い声で引っかかる。 「本当に…ありがとうございました」 とにかくまず、お礼をしなきゃ。 『俺じゃなくて、ゆかりに言わなきゃね…学校戻ってきたら…とりあえず連絡とれるようになるといいね…ごめん、行かなきゃ』 そう言って春輝さんとの会話は終わるかと思ったが、最後に 『星那ちゃん、お兄ちゃんとずっとずっと仲良しで…幸せにね…』 と言われて切られた。 「…春輝…さん?」 どういうことなんだろう、 鬼火組は関係ない…よね? 「星那、どうした?…誰と電話?」 「ううん、なんでもないよ!」 私は春輝さんと話していた事は濁そうとすると、 お兄ちゃんは深く触れないようにと 「今日はハンバーグ買ってきた!」 なんて、話題を変えてくれた。 「やった、おいしそう!」 …とりあえず今は深く考えちゃだめだ… 学校始まってからでもいい… タロ先輩や 成宮先輩… みんなにちょっと聞いてみよう… ゆかりさん… なんだろう、 胸騒ぎがするの… 会いたいよ、 ゆかりさんの声が聞きたいな。 次は、星那が… ゆかりさんを抱きしめるんだ。 そう思いながら 私の悪夢は終わりを告げた。 星那も強くなろう。 みんなを守れるように、 安心してもらえるように。 少しだけ、大人になれた気がする、 高校1年生の夏休みだった。 END   … はい … どうも!毎度お馴染みの神条めばるです、、、ー! 今回は、もう何から話そう。(辛 結構複雑なんだけど、 とりあえず星那ちゃんの話をしたい。 今回、星那ちゃんにとって辛いけど成長するために必要な大事な話となりました。 はじめ、星那ちゃんの設定と照らし合わせながら、ゆかりとの関係性とか考えてたんですけど…鬼火組と鷹左右組をドンパチしちゃうとかなり話がデカくなるなぁって悩んだので、ゆかりの家と新キャラによる手助けで集結するような流れになりました。 残念ながら、終結までには至りませんが、 鬼火組が大きく動くことができなくなります。 それについてもまた、何が裏で起きたのか考えてるところもあるんで公開するかどうか悩みながら、いつかは出せたら良いかなって思ってみたり。 桔梗くんは、もどかしく毎日を生きていただろうし、、、2人とも大変だったろうな。 星那ちゃんと桔梗くんが離れてる間、 本当に本当に辛かったよね。 もう離れないで欲しい、、、、、、 壊滅状態になっていた筈の鬼火組… 一体誰の手を借りたのか… 春輝とゆかりは真実を知るので、 もしかしたら、つつくと出てくるかもね? といった感じです。 ついでに、其れを踏まえての、 今後の2人の動きが変わってきます。 非常に春輝やゆかりも成長していくんで、 こっからが見どころなのかなぁと言う気持ちでいっぱいです! 星那ちゃんにも、桔梗くんにも、本当に感謝しています!ありがとう!大好き! 春輝が1番痛い思いをしていますが、 それだけ奴には知ってもらわなきゃいけないかなって部分がたくさんあるし。 巽先輩にありがとうな気持ちが溢れていたりして(     )   ストーリーに名前だけこっそり失礼しました。 さ、ら、に、 今回、タロと拓海にも、、、手を借りました…ありがとうーーー ゆかりと星那ちゃんが助かっちゃいました… 大好きだよゥ。 特に、こういう場面で冷静なタロ先輩って、 最高過ぎますね。。。 悔しい、めちゃくちゃ、、、ゆかりは悔しいよ…(苦しい場面 拓海くんがジュース落としちゃうの、 個人的に好きなんですが(勿体無い 衝撃的だよね、普通ね。ごめんね。 未来また、星那ちゃんが狙われる可能性が無くなった訳じゃないというのが今回の大きなポイントです!!!!! …壊滅までは無理ですから、何かのきっかけさえあれば動き出すかもしれない。 ただ今は下手に動けない。 それだけです。 ついでに、敵意が何処に向くと思いますか? それを考えたら結構、春輝はヤバいことに首を突っ込んでます。 どうなるのか、彼の様子も見ていてあげて欲しいなぁなんて思っていたりします。 強くなろうね。 さぁ!夏休み終わっちゃうよ… 秋もまだまだ色んなシナリオあるんで、 お楽しみに♬ ここまで見ていただき、 ありがとうございました!! ではまたーーー!
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