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#1 誰かの「 」になりたくて。
#1 前半
もしワタクシが本当にやりたいことを、
自ら進んでできる時が来たら、
この心の中にずっと閉じ込めていた剣を、
抜く事が出来るのかしら。
醜い顔も、醜い姿も、
性格も、人格も、
あの時、
全部変えられてしまったけれど、
ひとつだけ変わらなかったものがあるのよ…
ずっとずっと、
なりたかった…
誰かの「 」に …
だからワタクシがもし失敗したら、
後は全て任せますわ、
春輝…
…
キラキラと夜の光に照らされ、
動物園の帰り道、ゆかりさんと手を繋ぎながら
お揃いのストラップが嬉しくて、手を繋いでるのとは反対の手に持って歩いていた。
「ゆかりさんが、お姉ちゃんだったらいいなぁ〜」
ふと、ゆかりさんに話しかけると変わらない笑顔で「まぁ嬉しい」という。
あれから、毎日まるみ屋商店でゆかりさんと時を過ごした…少しの間だったけど本当にいろんなことがあった…
…仲良くなったばっかりだったのに、
もち子さんが亡くなられた…
それは7月30日の出来事だった…
忘れられない会話がある。
「ゆかりちゃん…しっかり自分の心を魅せていきなさい、素敵な夢を叶えるんだよ」
もち子さんは確かにそう言った。
ゆかりさんの夢ってなんだろう、
もち子さんの前で涙ひとつ流さずに表情もいつもと変わらないゆかりさんは「はい」と一言だけいった。
私は暫く悲しくて、泣いていたのに…
ゆかりさんは…どうして泣かないのか…
悲しくないの?苦しくないの?
そんな疑問が頭の中でぐるぐると巡った。
星那は、
ゆかりさんに泣いたり怒ったり笑ったりしてほしい…
苦しかったり辛かったり感動したら泣くし、
ムカつく事があったり腹が立ったら怒る、
嬉しかったり、楽しかったら笑うでしょ?
…ずっと、ゆかりさんの表情は同じで、
笑顔なんだけど、時々困ったように笑うから…
本当に楽しいのか心配で。
夏祭りも、動物園も、
辛い事はたくさんあったけど、
星那は凄く楽しかった…
まるみ屋商店は夏祭り以降、
ずっとお店を閉じていた…
ゆかりさん楽しそうだったのに、
本当にすぐ閉店してよかったのかな?
帰り道ピタッと足が止まると、
合わせてゆかりさんも止まってくれた。
「どうかしましたか?」
私がゆかりさんから手を離して夜の公園にズカズカと入っていき「ちょっと寄り道しましょうー!」と楽し気にブランコに座ると、隣のブランコにゆかりさんは座ってくれた。
「ブランコなんて久しぶりだなぁ〜」
とゆらゆら揺れてると、
ゆかりさんは急に黙り込んで何処かを見ていた。
変な沈黙ができてしまう…
「ゆかりさん?」
不思議そうにしていると、ハッとして「ごめんなさいね、なんでしたっけ?」と言われた。
せっかくだから、いろいろ聞いてみよう。
「…今日楽しかったですか?」
ちょっと寂し気な声で私が聞くと、「えぇ、楽しかったわ」と言う…やっぱりいつも同じなんだ。
そう答えるように言われてるみたいにマニュアルを読んでるか、台本通りの言葉が引っかかる。
意地悪かもしれないけど…
星那は、ゆかりさんのことが知りたい。
ずっとずっと星那の話だけを数日間してきていた…
大好きな先生の話。
星那の秘密の話もした、
誰にも言わないって約束したり…
花火をしたり、
一緒に寝たり、
映画を見たり、
学校の話をして勉強をしてみたり…
働いてるお店の話もしたし。
…お兄ちゃんの話もした。
こんなにたくさん話せたのは、
ゆかりさんが聞き上手だったからで…
今日も殆ど星那がいきたい場所に付き合ってくれていた。
「ごめんなさい、楽しくないように見えてしまいましたか?」
ゆかりさんはいつもと同じお決まりの困ったように笑って言った。
「違うの、星那の好きなとこばかり付き合ってもらったでしょ?」
「星那ちゃんの好きなところに行けるのが嬉しいわ」
まただ…ゆかりさんはいつもいつも、そうやって合わせる…思い切ってブランコから降りてゆかりさんの前に立った。
「あのね!!…本当はどう思ってるか知りたいの…ゆかりさん、ずっと星那に優しくしてくれるし…嬉しいけど…」
そこから先は口籠ってしまった…
どう考えても失礼な話だし、自分のエゴを押し付けてしまっている。
でも、どうにかしたくて…
ゆかりさんは、
自分の顔を両手で触ってにっこりと笑った。
特に今は笑うところじゃないのに。
「ありがとう…星那ちゃんには聞いてもらってもいいかもしれませんわね…」
そう言われ、ゆかりさんはブランコでは無くジャングルジムに登り始めた。
「高いところは嫌い?楽しいですわよ?」
スイスイと登って、ジャングルジムの上に、ゆかりさんは立ち上がってバランスをとっていた。
手を離すなんて怖くないんだろうか…
「登れますけど…」
久しぶりに登るジャングルジムは幼い頃と比べてやけに小さく感じやってみるとそれほど高くなかった。
2人で上に腰掛けたところで、
ゆかりさんが急に話し出した。
「ワタクシね、小さい時…凄く…醜かったの…小学生までは、たくさん虐められたのよ?」
ふと写真を見せられた、
幼い少女の顔は見るに耐えない顔だ。
見た目で虐められる事は結構ある、
ブサイクだからと意地悪するやつもいれば…
美人だからって妬んで意地悪するやつもいる。
…
ゆかりさんは、整形をしたそうだ。
中学生に上がった段階で顔が変わったけれど、
名前からすぐに整形をしたとわかるし、
家が名門の医者の家だから余計に非難された。
「でもね、何度虐められてもワタクシは平気でしたのよ?」
「どうして?」
「負けられない理由があるの」
それは家族から「強く無くてはならない」そういう教育を受けてきたからだそうで…
泣けば追い出されご飯すら食べれず、勉強も技術も完璧でなければ罰が与えられるという話だった。
それは奴隷とかに近いんじゃないか…
家庭内暴力として訴えられるのではないか…
私はそう思ったけれど、
ゆかりさんは首を横に振る。
「家族には感謝しているの」
予想外の言葉だった、
ずっと家族の前でも友達の前でも笑っていた理由は「良い子」でなきゃいけない。
それが強く根付いてしまったから感情表現は人よりも上手くないと話してくれた。
でもなんで?
「…辛くなかったんですか?なんで感謝を…?」
するりと、ジャングルジムを2人で降りて近くの自販機でジュースを買いベンチに座った。
ゆかりさんはその間、質問の内容を答えようか迷っていたのかもしれない。
でもちゃんと、話し始めてくれた。
「はじめは辛かったの…でもね…一時期、春輝が変えてくださったのよ」
ゆかりさんが自分の携帯で、
中学生の時の写真を見せてくれた。
春輝さんは今よりも派手な服を着ている…
隣に映る金髪の女性は…
「……これ、ゆかりさんですか!?」
思わずびっくりした…ギャルだ。
セクシーな大人っぽい服を着て普通に華やかな化粧までして…確かに笑顔は今より楽しそうで。
プリクラを撮ったのか可愛いスタンプが押してある。
「この時は楽しかったわ…もち子さんのところに逃げ込んで迷惑をたくさんかけたの」
ゆかりさんからは意外な言葉だった。
一時期虐めが酷くなっていた頃、昔のゆかりさんの写真を同級生があちこち知らない生徒までばら撒いたことがあったらしい。
何処を歩いても校内で整形女と言われたそうだ、
そんなある日…写真を大量にゆかりさんの前に持ってきた少年がいた…
それが、鷹左右春輝だったそうだ。
構内にも関わらずいきなりライターで火をつけて目の前で写真は燃やされた。
『お前は死んだから、明日から生まれ変われるよ…ねぇ、俺と遊んでよ』
そう言って夜の街に連れ出してくれた…
全く家に帰らなかったのは初めてで、いけないことをしているのが本当に楽しかったと、ゆかりさんは話してくれた。
敬語もいらない、普通に周りと変わらない、
金髪にして可愛い服を着て。
何度もお父さんに連れ戻されそうだったが、
祖父母に匿ってもらっていたらしい。
春輝さんのことは、昔から知っていたが、
仲良くなったのはその時だったようだ。
…でも、
「こっからね、どうしても家に逆らえない事件が起きるの……」
私はドキッとした…急にゆかりさんが暗いトーンになるので、深刻な雰囲気に蒸し暑さを忘れる。
「春輝と仲が悪くなったのは、その時…」
「え?仲が悪いようには見えないですけど…」
何度か2人の会話を見てきていたが、
私からすれば仲が悪くは見えてなかった。
「ふふ、そうね…ワタクシは悪いことをしてしまったの…だからもう間違えられない…」
やっと、ゆかりさんの本心で星那に話しかけてきてくれているのは分かるけれど想像以上だった。
なんて声をかけたらいいんだろう…
「ありがとう、星那ちゃん」
私が困った顔をしていたからか優しく言う。
「もしワタクシが変わってしまっても嫌いにならないでいてくださいますか?」
「勿論です!!」
話題を変えられてしまったが、
これだけは否定したくない、ゆかりさんの事、
もっと知りたい…
「星那ちゃんは私にとって本当に特別な子ですわ…必ずお兄ちゃんとまた暮らしましょうね」
その言葉を聞いて今はまだ話題にするのはやめようと思った。
どうして2人の仲が悪くなったか…とか、
そういう話までは聞けなくてもいい。
ただ、ぎゅっとゆかりさんに抱きついた。
「星那は…ゆかりさんと離れるのもやだな…お兄ちゃんが帰ってきたら…3人で暮らすのは難しいですかね…」
安心する。
ゆかりさんといると楽しい。
お兄ちゃんだってきっとそうだと思う。
難しいお願いかもしれないけど、
言ってみるだけ。
「ふふ、考えときますわ」
そう言って、ゆかりさんは私を抱きしめてくれた。
嬉しいな。
その瞬間、携帯の着信が夜の公園に響いた。
「…春輝からだわ…」
そう言って、ゆかりさんは「はい」と出る。
『決まった…22日夜に動く』
私にも、はっきり聞こえた。
「わかりました」
ゆかりさんは、それだけ言って着信を切る。
暫く沈黙があったが「帰りましょうか」と言われて
「はい!」と私は元気に返した。
帰り道のゆかりさんは口数が減っていた。
ちょっと近づけた気がしたけど、
やっぱりまだ、
知らないことがたくさんあるのかな…
…
カラカラとスプレー缶の殻になった音が響いた。
「…Good condition♡…」
俺はスプレー缶を投げ捨て、新しいやつを開ける。
シューッと壁に吹きかけていると、
ブォンッとエンジン音とライトが俺を照らす。
「ハルちゃんーー、もう時間よ?」
俺の大切な友達、彫り師の豪(ごう)ちゃん。
昔からタトゥーは必ず彼に入れてもらっている。
彼はオネェ口調なのだが見た目が厳つく周りから怖がられていた。
いつも何かと知ってるし信用している…
志騎高のOBだった。
「あとちょっとだけど、戻ってきたらでいーか…」
自分のバイクにスプレー缶をしまう。
今日は8月22日…
星那ちゃんを狙う鬼火組が動き出す日…
あの日LINEを交換したデビルによれば、
鬼火組は数カ所に分かれて動いている。
頭のやつは、1番わかりやすい人の気配が無い工場跡地に巣を作ってるようで、そこに乗り込む予定だ…
向こうの人手が少ないのが重要で、
乗り込める人数が俺とゆかりだけというのが問題だった。
本当なら声をかけても良かったのかもしれない…心配してくれる仲間が居るのも、悪くないなって最近は感じていた…
でも、危ないことに巻き込みたくないのは
変わらない…
唯一の頼りにしてる
豪ちゃんも加勢しようとしてくれたが、
星那ちゃんから離れて欲しく無い。
工場近くの安全な場所に2人でいてもらうように考えていた。
先ずはデビルが通信環境を全部遮断。
それで工場跡地は全体が電波妨害に合い、
助けは暫く来ない。
そのタイミングに潰すつもりだ。
向こうは薬中だろうから、
ゆかりがいるのは心強かった。
事前に薬についても調べはついてる。
本当は夏月や父を頼ろうか迷った…
でも…どうせ話せば自ら何かを成し遂げることは出来ない…
そんなつまんないシナリオを自分で作ることは今の俺が1番やりたくなかった。
どうせ死ぬんだったら、
なんか残しておきたい。
ずっとそう考えていた。
一回だけ、高いところから飛び降りたりとか、自殺とかを考えたことがある。
でもなんか違った…
だったら、もっと違う死に方をしたい。
俺が1番、輝いて見える死に方をしたい…
そう思ったら怖いものなんて無くなっていた。
でも、
絶対死なないって約束をしたせいか…
不安や迷いが頭の片隅にあった。
口約束だけど、絶対に破りたくないな…
そんなことを考えながら、
新しいスプレー缶にそっとくちづけた。
………
まるみ屋商店に着くと、ゆかりが黒いピッタリとした服を着ている…アニメや漫画に出てくるスパイじゃあるまいしと笑えてくるが、
彼女は昔は風の抵抗が少ない服がいいと体に密着した服を好んでいた。
…久しぶりに見たので懐かしく感じる。
「悪く無いんじゃ無い〜?」
「早くいきましょう」
優しく言ってやったのに冷たく横を素通りされ、
俺のバイクに跨った。
昔はゆかりのものだったからまぁいいんだけどさ。
星那ちゃんはゆかりの後ろに、
豪ちゃんの後ろに俺が座る。
暫く大きな道をまっすぐに抜けている最中に電話が入った。
「はーい」
俺が電話をとると、久しぶりに声を聞く。
『春輝くん、元気そうでよかったよ』
相変わらずデビルの話し方は気持ちが悪い。
こいつを信用してもいいと思ったのは、
豪ちゃんと話していた時にヤツについて知ったのがきっかけだった。
デビルの正体は有名な電気系メーカーの大手や工場、電工などデジタル系に強い企業でテレビでもCMとかをよくしている…
顔立ちが良いとは思っていたが、
そこの社長が溺愛する看板息子で頭が良く天才だと言われてテレビにも出ていた男だ。
何でそれを知ったのかは非常に不思議な繋がりでもあった…
豪ちゃんがタトゥーを入れてる顧客の中の男の話によれば『デビル』という天才ハッカーの噂が流れており裏で活躍しているらしい…という話だけだった、誰も顔は見たことがない…いつもLINEで会話するだけだが必ず報酬に見合った動きをすると。
…タトゥースタジオで俺が、
テレビを見ながらデビルについて聞いていた。
そんな時にやっていたバラエティ番組に奴が出ていて思わず口に咥えていたタバコを落とし
豪ちゃんに「ちょっと!火事になるでしょ!?」なんて怒られたがそれどころじゃない。
すぐさま写真を撮り、デビルに送りつける。
これがお前の正体?と送るとすぐに既読がついた。
…
春輝くんは、
僕の秘密を知っても誰にも言わないでしょ?
…
その言葉だけが、俺への優越感を増幅させた。
わかってやがる。
人の秘密を握ると、
誰でも支配した気分になれると…
嫌いじゃない。
「最高じゃん」
俺が口にすると、豪ちゃんは首を傾げていた。
勿論デビルの正体を誰かに口にする事はないが、
仲良くなったとだけ豪ちゃんに話すと、
「ハルちゃんは本当に顔が広いんだから」なんて嬉しそうに笑っている。
俺が荒れていた時は叱ってくれたり、豪ちゃんにはなんだかんだ助けられて来たなぁ…
「なんの用?」
今から乗り込みに行くっていうのに、
電話をかけてくるとは…
余裕なのか急ぎの話か…
『10人しか今は工場にいないよ、それだけ…しっかり見ておくね』
ピッと電話は切られた。
シンプルでわかりやすい10人潰せば終わり。
そういうことだ…
バイクを止め途中から歩き出した。
森の奥に進めば工場がある、
途中からは、豪ちゃんに星那ちゃんと待っていてもらうように言う。
もし何かあったら、すぐさま助けてもらえるし、
星那ちゃんを守れるぐらいには信頼できる強さを豪ちゃんは持ってる。
「ゆかりさん!!」
星那ちゃんは、ゆかりに抱きついていた。
ゆかりも星那ちゃんを抱きしめている。
…ゆかりを突き動かしてくれた、
星那ちゃんには感謝している…
良かれ悪かれ、
今のゆかりは昔の生き生きしていた時のようだから…
もう二度と俺には出来ない…
そう思っていた姿だから。
…
数分たっただけなのに、
あたりをキョロキョロと見回してしまう。
ゆかりさんは大丈夫だろうか、
春輝さんは無事だろうか。
2人が工場に入っていくのを見た後から、
ドキドキして落ち着かない。
待つのが苦手になったのは、
お兄ちゃんの居なくなった事件のせいかもしれないなぁ…
2人を信じていないわけじゃない、
でも、
ゆかりさんは女の子なのに…
戦いに行くのは、どうして…?
「落ち着いて?」
そっと水を豪さんから渡された…
そう言われても不安なものは不安だった。
今日はじめてあったばかりだけど、
ゆかりさんや春輝さんの友達なら悪い人じゃないんだろうけどな…
そこじゃなくて、
もう誰かと離れたり消えたりされるのは
嫌だった。
そう思うと勢いよく走り出していた…
ゆかりさん…お願い…
星那を独りにしないで…!
「ちょっと!」
軽々しく、豪さんが私の体を引き止める。
「嫌なんです!もう見てるだけは…なにもできないのは…」
豪さんはため息をついて「…みんなそう言うのよ…」なんて悲しそうな顔をした。
「星那ちゃんだったわよね…絶対アタシから離れないで?…まぁどちらにせよ怒られちゃうでしょうけど」
「えっ…いいんですか?」
もっと引き止められると思ったら、
あっさりと同意してくれる…
「アタシ、2人をずっと見てきたんだけど怖いの」
意外な言葉だった。
「このまま放っておけば死ぬわよ」
それは星那も感じていた…
ゆかりさんはずっと何かを我慢していたように見えた、春輝さんは無茶ばかりしているように感じてる。
私だけがそう思ってるわけじゃないんだ…
「ひとつだけ約束して」
豪さんは私の目線まで少し腰を曲げる。
「約束ですか?」
「そう…もし危ないと思ったら死ぬ気で来た道を真っ直ぐ抜けて頂戴…来るときは曲がったりしてたけど、真っ直ぐ抜ければ住宅地だから」
そんなことを言われると、
急に足が震えた…
怖い…
でも、星那は…
「わかりました、約束します!…いきましょう」
そう強く言った。
言葉にすれば少しでも強気でいられるから。
ゆっくり様子を伺いながら、
豪さんと道を進む。
まだこの時は知らなかった…
私が思ってる以上に、
ゆかりさんは…
next … #2 全部背負うだけだ
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