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中学2年の夏休み、夜、風呂上がりにクーラーの効いた部屋でアイスを食べていると電話が鳴った。
けたたましく鳴る受話器を取れば出たのは千春のお母さんで、ひどい慌てようだった。
「…もしもし?今石ですけど、」
「もしもし!菜摘ちゃん!?遅くにごめんね、菜摘ちゃんのところに千春行ってないかな?」
「千春?来てないですよ。…どうかしたんですか」
「いなくなっちゃったの千春!…熱出して大人しく部屋で寝てた筈なんだけど、さっき部屋をのぞいたらベッドが空になってて…、探してるんだけどみつからないの!」
「え、」
「祐子ちゃんや彩花ちゃんのところにも電話したんだけど、行ってないみたいだし…、どこに行っちゃったのか…。こんな夜遅くに一人でなんて、なにかあったらと思うといてもたってもいられなくて、」
「私も探して見ます」
「本当!?助かるわ!ごめんね」
電話を切ると私はケータイを探した。すると着信が来ていて、祐子からだった。
私はアイスを一口でかみ砕き、画面をスライドしてかけ直した。
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