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久しぶりに走ったせいで脇腹が痛い。
○○丘に着くと二人はもう着いていた。
「ごめん、遅くなった」
「ううん、うちらも今来たとこ」
「じゃあ、行こうか」
二人とも頷いて、私達は真っ暗な林の中へ足を踏み入れた。
昼間の明るく開放的な雰囲気とは違って、夜の○○丘にある散歩コースは不気味だった。
「ねぇ、千春、ほんとにこんな暗い道歩いたのかな?」彩花が聞く。
「うん、たぶん」私は答える。
「ひとりで?」
「…たぶんね」
「あいつ勇者だな」
恐がりな彩花は私の腕と祐子の腕をつかみ、しがみついて歩いていた。いまにも帰りたいと言いだしそうだ。
「…菜摘はなんで○○丘に千春がいると思ったの?」
スマホのライトで足元を照らしながら祐子が尋ねる。
「あぁ、それは…、昨日、部活で見たんだよね、偶然、千春の鞄の中に天体観測の本が入ってるの」
「天体観測?」
「ほら、うちら一応天文学部じゃん?」
「うん」
「それで今日はペルセウス流星群じゃん?」
「……」
「……」
二人は黙り込んでしまった。
「彩花何のことか分かる?」
「ううん。祐子ちゃんは?」
「わかんない」
二人が説明を求めるように顔を向ける。
「夏に見られる流れ星だよ。一年に一度ある。すごくたくさんの星が流れるの。…って私も朝のニュースで見て知ったんだけど…。」
「そうんなだ」
「ほうほう」
「……でも、それと千春が、何の関係があるの?」
「え?、いや、だから、千春見たいんじゃない?流星群」
「え、千春が?」
「うん」
「おー」
「千春ってそんなロマンチストだっけ」
「でも本持ってたし」
「…!、……っお化け出たらどうやって戦えばいいのかな?」
急に彩花が的外れな言葉を口にした。
「彩花…」
「何なにいってんの」
「だって!ほら、あそこ!おばけいる!」
「はぁ?」
「マジだ!!」祐子の声に顔を向ければ本当に人影があった。
突然のことに驚き、私達は岩陰に隠れてしまった。
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