社畜OLは生意気な後輩に救われる

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社畜OLは生意気な後輩に救われる

「何が悲しくて会社の屋上で星空を眺めにゃならんのか」  ここのところ異常に忙しく、毎日遅くまで残業をしている詩帆。  明日は週末。  つまり、今日はいくら残業しても問題ない日でもある。(詩帆の中で)  月曜朝イチで必要な書類の作成依頼を受けたのが定時後。  せめて終電までには終わらせようと、残業して作成していたのに、終わりが見えていた資料の内容に関して、技術部から仕様変更の連絡があったのが午後二十二時。それにより、残業してまで作成した資料は一から作り直しとなった。  彼女の頭に"絶望"の二文字が浮かぶ。    とりあえず終電で帰って明日改めてくるか、終電は諦めて会社に居残って仕上げてしまうかの二択で迷う。 (何この選択肢。私も新卒みたいに定時で帰って自由な休日謳歌したいんだが? 残業+休日出勤(しかもお給料の出ないボランティア)って、どこのブラック企業?)  詩帆は深くため息をつく。  新卒で入社してもう七年。  そこそこ仕事はできるようになったけど、仕事を断れず、請け負いすぎてしまうのが悪い癖だ。 「おっきいため息っすね」  後方から、聞いたことのある声に話しかけられた。  振り向くとそこには、後輩の柴浦がいて、彼はスタスタと詩帆に向かって歩いてくる。  詩帆がもたれかかっている柵に、芝浦も同じ様にもたれかかりながら、尋ねてきた。 「また残業っすか」 「……まあね。君はどうして?」  詩帆は端的に答え、逆に質問を返した。  芝浦はまだ新卒三年目で、彼の仕事量はそこまで多くないはずだ。多少の残業はあってもこんな遅い時間になるなんてありえない。 「あ、もしかして。君も課長に無茶ぶりされた? もしそうなら言って! 私が代わりに、」 「先輩はバカなんですか?」  いきなり後輩にバカと言われ、詩帆は驚いて固まってしまった。  そんな詩帆の反応を見て、芝浦は焦って弁明をする。 「あ、いや。だって先輩、毎日かなり残業してません? それでどうして、それ以上仕事代わろうとするんすか。さすがにバカというか……。技術部から先輩に連絡したやつ、俺の同期なんですよ。そいつから話聞いて、今頃先輩絶望してるだろうな、って思って来ちゃいました」  詩帆としては、ただ後輩の負担を減らそうとしただけなのに。  まさかバカと言われるなんて。 (来ちゃいましたって……。若い子の考えることは意味分からん)
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