244人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
捜査会議が終わり、一同が散開した。
「霧咲」
捜査一課長が私の名を呼び、こっちに来るよう首で合図した。
私はすぐに一課長の方へ近づいた。
「お呼びでしょうか?」
「最初の事件と同じ花を使うには何か訳があると思うが、お前の意見はどうだ?」
捜査一課長は相棒の私に意見を求めた。
私は少し考えつつも、自分が思った事を口にした。
「花言葉は正義ですが、これは恐らく警察を意味していますよね?」
警察は正義の象徴……
犯罪者を取り締まり、国民の安全を守るのが我々警察に課せられた責務だ。
「そうだ。そして同じ花を使ったって事はこれは我々への挑戦状という事になる。模倣犯の仕業にしても手際の良さから、恐らく同一犯とみて間違いないだろう」
更に捜査一課長は重々しい口調で言った。
「これが警察への挑戦とするならば事件は再び、起きるぞ」
捜査一課長の予言は当たった。
捜査会議が終わって三日経過した頃……
大田区田園調布で誘拐事件が発生したのだ。
誘拐されたのは田倉裕太君、14歳。
株式会社東洋電機の社長の息子だ。
捜査一課長は草壁班に調べてる捜査を本岡班に引き継がせ、誘拐に専念するよう命じた。
ところがそのすぐ後、自宅付近の公園で田倉裕太くんの死体が発見された。
最初のコメントを投稿しよう!