1人が本棚に入れています
本棚に追加
七夕に忙しくなるお仕事
七月七日といって多くの人は七夕を思い浮かべる。
仕事を怠けて、怒られて、遠距離恋愛をさせられてしまった織姫と彦星が一年に一度だけ会うことを許された日。
中国の風習に、この日に技術の習得や上達を願う乞巧奠というものがある。この風習は奈良時代に日本に伝来し、こと現代においては、それが「七夕の日には願い事を願うと叶う」という風習へと変質した。
「なんでそんな風になっちゃったんだよ」
俺は自分のデスクに顔を伏せて叫んだ。そんな俺を見て、隣の桐子さんがため息をつく。
「あんたさぁ......もういい加減にして働きなよ。ただでさえ、今日は量が多いんだから」
桐子さんはそう話しながら手元で書類にハンコを押しまくっている。とてつもない速さでハンコを押して、処理しているにも関わらず、書類の束は一向に減らない。というより、処理しても処理しても、処理した分だけの追加の書類が出てくるからだ。
「はぁ……みんな俺みたいに、ただだらけていたい人間になればいいのに……」
俺は顔の横にある書類タワーを見てため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!