Mr.ティラミスクラシコ

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 夕飯時のサイゼリアには様々な人が集う。  私のような会社帰りのOLに、塾帰りの中学生集団、今日はお父さんの帰りが遅い母子、そして……。  ピンポーーーン。  サイゼリアのフロアクルーがすぐにその呼び出し音を押した客の元へと注文を伺うために動き出す。  いつもの光景、私は3杯目のドリンク、オレンジジュースとコーラのオリジナルミックスを飲みながら食べ終えたタラコソースシシリー風の皿を端に寄せた。  まだ、もうちょいお腹に入るな、デザートでも頼もうかしら。  メニュー表に手を伸ばしても大体いつも決まっている、そう私の大好きな定番の。 「お待たせしました、ティラミスクラシコです」  にっこりと笑った女性フロアクルーは初心者大学生アルバイトかな?  まだ若いもの、若いからね、私は責めないよ、テーブル間違えたことくらい。 「、頼んでません。テーブル間違えてませんか?」  そう、同じものをこれから頼もうとしていたので一瞬驚いたものの、怒ってませんよアピールでにっこりと受け取りを拒否すると。 「あちらのお客様からです」    いいえ、間違ってませんよ、と店員さんが示した先には。  おだやかな笑顔を浮かべたキッチリ7:3分けのが私に手を振っていた。  ……誰だよ……。
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