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♪ピンポーン
(やばい、耳鳴りまでする……とにかく一旦落ち着こう)
♪ピンポーン
♪ピンポーン
♪ピンポピンポピンポピンピンピンポーン
(これは……耳鳴りじゃない!)
意識が現実に引き戻された。
目を開けて、驚愕する。俺のすぐ横には、女の店員さんが立っていたのだ。
(うわっ、ビックリしたー)
なんだか威圧的な店員さんだ。
彼女は右手を腰にあてている。もう片方の手は、テーブルの上――いや違う。正しくは、呼び出しボタンの上にあった。
(なんだ、呼び出し音か……ん?)
認識した途端、それは奇妙な光景に変わる。
(え、なんで押してんの? 店員さんが押すなんて、おかしくね?)
呆気に取られている俺を見て、彼女は左頬をヒクヒクさせながら口を開いた。
「あの! そろそろご注文を! うかがえますか!」
(注文? ……っあ!)
彼女の言葉で俺は、入店してから何も注文していなかったことに気が付いた。
(そりゃ怒るわけだ)
これ以上悪印象を与えないよう、俺はとびきりの爽やかスマイルを作り、満を持して注文した。
「ドリンクバーで!」
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