Chapter.1

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【01】  夕陽が校舎内を橙色に染めている。 桐島星一[きりしま せいいち]は 屋上に繋がる階段を昇りながら タメ息をついた。 本来は立入禁止である屋上。 そのドアが半開きになっている。 またアイツか… 星一はドアを力強く開けた。 「そこまでだ、エイリアン」 エイリアンと呼ばれた少女は、 栗毛色の髪を揺らしながらこちらを向く。 庵野愛梨[あんの えり]。 女子の中でもかなり小柄な彼女は 星一と同じ二年C組。 真っ白い肌と 柔らかそうな茶色いショートヘアは 男子の目を惹きそうなパーツではある。 しかし庵野は残念ながら それ以上の“個性”を持ち合わせていた。 宇宙好き、というより宇宙人好き。 彼女は 人一倍その分野に詳しく執着している。 要は“変人”なのだ。 そこで付けられたあだ名が“エイリアン”。 庵野の“アン”と愛梨の“エリ”から構成された その名前を 果たして彼女は気に入ってるのか否か。
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