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◇ ◇ ◇
地面に倒れた男の死体を見下ろしながら、軍人は銃を静かに仕舞った。
しばらくその場から動かず見つめていた軍人は、何を思ったか死体の傍らに膝をつき、開いたままだった目を閉じさせた。そして、小さな声で何かを唱え、死体の腕を持ち上げた。死体の腕には、この場には不釣り合いな玩具のブレスレットが着けられている。
「……こんな風に再会したくなかったな」
ポツリとこぼした軍人は、死体の腕からブレスレットを取ると、自分の腕に着けた。彼の腕には、死体の物と色違いのブレスレットがあった。
再び、何か思うように死体を見つめていた軍人は、耳に届いた音に身体を起こすと、瞳に獣の眼光を宿し走り出した。
あの星降る夜に始まった戦争は、もうすぐ終結するだろう。
この星は、外宇宙から来た人類によって蹂躙され、彼らの物になっていく……。
【終わり】
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