星降る夜

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 人の気配が消え、光を失った都市。けれども、周囲は喧騒に満ち、燻った嫌な臭いに満ちている。  静寂に満ちた空には満点の星が輝き、濃紺の世界に色を灯している。しかし、星の瞬きは時おり眩い光を放っては消え、煩いほどに幾筋もの線を描いている。  俺は、そんな世界の静寂と喧騒に心を動かすこともなく、ただ自分の現状だけを見つめていた。 (……くそっ、しくじった)  突きつけられた銃口。俺も同様に銃を構えるが、震える銃口は相手を捉えることができないでいた。  銃を握る右腕がズクズクと痛む。厚手の服にはじわりと血が滲み、負傷した部分が熱を帯びているのが分かる。  けど、腕の傷よりも、もっとヤバいのが腹の傷だ。傷口は小さいのに、出血量が尋常じゃない。こうやって踏ん張って立っているだけで血が溢れ、服を濡らし、赤色の面積を広げていっている。それなのに、痛みがほとんど感じられないんだから。 「辛そうだな」  俺の眼前に立つ男が嘲笑うように言う。 「……うるせぇ」  強がって見せるが、こうしているだけで、どんどん呼吸が荒く短くなっていく。  はっきり言って、声を出すのも苦しい。俺は態度で抵抗の意思を見せるために、目の前にある大きく鋭い懐かしい瞳を睨みつけた。  男は一瞬、何かしら感情を瞳に浮かばせたが、すぐに元の黒い瞳に戻っていった。  ヤツの瞳は、俺たちと似ているようで少し違う。獣のように鋭く、それでいて宝石のように美しい眼光。  俺は、ヤツの黒い瞳に吸い込まれていくように意識を揺らがせ、遠い記憶を思い出していた。
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