星降る夜

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 ◇ ◇ ◇  ズグン、と走った腕の痛みに懐かしい記憶が途切れる。同時に痛みによって反射的に身体が竦み、銃が手から落ちてしまった。  武器は失ったが、俺の中に抵抗の意志は消えない。突きつけられた銃を握る手に着けられた場違いな玩具のブレスレットを見つめ、そのずっと先にある黒い瞳を睨んだ。  かつて眩く流れる星を映していた瞳には、破壊された暗い世界とボロボロになった惨めな軍人の姿が映っている。 「……星を降らせる……って夢……、叶えられたのかよ……」  息も絶え絶えに尋ねる。すると、眼前の敵軍人はフッと口角を上げ、僅かに目を細めた。 「ああ。叶えられたよ。それに、まだまだ降らせるつもりだよ。これからもずっと」 「……そうか」  この戦争、こちらに勝機はない。元々、科学技術のレベルが違いすぎるんだ。最初から勝機なんてなかった。けど、俺たちは抗った。知らなかった真実を知り、俺たちは戦い続けた。  あの夜に始まった戦争を……。 「…………」  俺たちと姿かたちは似ていても、全く異なる人類である敵軍人は、獣に似た黒い瞳で俺を見つめたまま、引き金を引く。  発砲音のない細い熱線が俺の額を貫き、中をぐちゃぐちゃにしていく。  俺は、形を変えない黒い瞳に映る自分の死に様を見つめながら地面に崩れ落ちていった。
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