宙の拾い屋

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 次の日、オーおじさんは宇宙船に乗ってめぼしい星を探しに行った。  僕は腕をまくる気持ちで、掃除機を肩にかつぎながらゴミ拾いに精を出す。宇宙船を動かすエネルギーを考えると、今日は二倍以上働かなくては。  オーおじさんのいないゴミ拾いは集中できて、午前中にはノルマの半分が終わっていた。  順調、順調。オーおじさん、びっくりするぞ。  そう思うと、もっとがんばろうという気になる。  僕は黙々と掃除機を動かしながら、午後も懸命に働いた。正直、今までで一番ゴミが集まったと思う。  このゴミは、故郷の地球に送られて、宇宙船のエネルギーに生まれ変わる。「ゴミ拾い」と言ってはいるが、誰もができる仕事ではない。掃除機を操るにはテクニックがいるし、宇宙の生活には適性もある。  このゴミがエネルギーになることで、人は宇宙へと今も飛び立っていられる。未来に繋がるエネルギーを確保する重要な仕事だ。  それらを教えてくれたのは、オーおじさんだ。  宇宙船でこの星に降り立った僕は、本当に「拾い屋」のことを一つも分かっていなかった。ゴミを拾うことが何になるのか、誰かと働くことがどれほど楽しいことなのか、教えてくれたのはオーおじさんだ。  だから、オーおじさんは僕の師匠みたいなもので、僕はいつもオーおじさんに褒めてもらいたくて頑張っている。  パンパンになるダストボックスを見せたら、オーおじさん、なんて言うかな。 「おーい、シャウ。起きろお。ゴミ送る時間だぞお」  間延びした声が僕を呼ぶ。目を開けると、オーおじさんの顔が間近にあった。飛び起きると、頭と頭がかち合う。イタタタ。相変わらず、オーおじさんは石頭だ。 「大丈夫かあ? こーんだけゴミ拾ったなら、そりゃあ疲れたべなあ」  オーおじさんが僕が集めたゴミを見上げる。100リットルのゴミ袋10袋分くらいにはなるだろうか。 「すごいでしょう? 僕も立派な拾い屋だよ!」  一人で集めるゴミの量が1トンを超えると、一人前だと言われるらしい。これも、オーおじさんから教えてもらった。 「シャウはすっげえなあ。オレがシャウの頃はまっだコレの半分も集めらんなかったんになあ」  シャウおじさんが僕の頭に手を乗せる。宇宙服同士なので感触はわからないが、宇宙服に包まれたオーおじさんの掌は大きくて、わしわしと頭を撫でられている感じがした。 「シャウ。拾い屋ってのは、とおっても重要な仕事なんだな。ゴミ拾いする奴がいないと、宇宙船は飛べねえし、宇宙船が飛ばねえと地球と星々の行き来ができねえ」  今や、宇宙はかつての海だと言われていた。その昔、文化や暮らしが発展したのは、全て海を越えたからだった。そして、地球は宇宙という大海原に繰り出したことで、新たな世界を得た。  地球が港で、かつての地球人はすべてクルー。宇宙船がなければ、出港も帰航もできない。各星に住み、働く人々にとっては、重要な交通網だ。 「オーおじさん、その話はもう耳にタコができるほど聞いたよ」 「そうだったかあ、年寄りは同じ話が多くていかんなあ」  オーおじさんが頭を掻く。僕は笑い声をあげた。  二人しかいない職場だけれど、僕はオーおじさんが楽しそうに話す姿と、(ソラ)を時おり流れるキレイな星と、この仕事が大好きだ。
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