あなたのお好みはどれくらいの焼き加減?

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「ねぇ、これ何回目?」 「あなたの皿に乗っているのを数えればわかるわ。七回目よ」 「もし僕がガンで亡くなったらどうする?」 「なにガンなの?」 「いや」 「なら噓でもそんなこといわないで」  お好み焼きの溜まりが先端についていた。なら箸の先端を向けないで。 「冷めるわよ。さぁ、召し上がれ」 「ねぇ、今日のご飯ってなんだっけ?」 「お好み焼きだけど」 「君がこれをお好み焼きというなら、僕はお好み焼きが嫌いだな」 「そう。じゃあお(もち)食べる?」  持田さんの鞄から二段のお正月に飾る餅が出てきた。まだ焼けていない生地を端にどかし、中央にそのまま餅が置かれる。 「ごめんなさい、今のりがなくて、きなこならあるのだけれど」  今度はきなこがでてきた。グルテンフリーで薄力粉に比べて糖質八十%オフのやつだ。しかも二㎏。 「足りるかしら」  きなこは大好物だ。持田さんは僕の好みを熟知していた。グルテンフリーは最高のきなこだ。
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