11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、これ何回目?」
「あなたの皿に乗っているのを数えればわかるわ。七回目よ」
「もし僕がガンで亡くなったらどうする?」
「なにガンなの?」
「いや」
「なら噓でもそんなこといわないで」
お好み焼きの溜まりが先端についていた。なら箸の先端を向けないで。
「冷めるわよ。さぁ、召し上がれ」
「ねぇ、今日のご飯ってなんだっけ?」
「お好み焼きだけど」
「君がこれをお好み焼きというなら、僕はお好み焼きが嫌いだな」
「そう。じゃあお餅食べる?」
持田さんの鞄から二段のお正月に飾る餅が出てきた。まだ焼けていない生地を端にどかし、中央にそのまま餅が置かれる。
「ごめんなさい、今のりがなくて、きなこならあるのだけれど」
今度はきなこがでてきた。グルテンフリーで薄力粉に比べて糖質八十%オフのやつだ。しかも二㎏。
「足りるかしら」
きなこは大好物だ。持田さんは僕の好みを熟知していた。グルテンフリーは最高のきなこだ。
最初のコメントを投稿しよう!