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「ありがとう、持田さん」
「……いいえ。餅、まだあるわ」
次々にホットプレートの上に餅が置かれていく。
「もう焼けたかしらね」
箸で無理矢理つかもうとして、折れた。餅がゴトッと落ちる。
「……やるわね」
餅を見つめながらぼそっとつぶやいていた。負けるなと心の中で鼓舞するも、変えた二本目の箸もことごとく折れてしまった。三本目、四本目と僕の家の箸がなくなった。
鞄からさらに取り出し、五本目、六本目と餅をつかもうとしているが、残念な結果となってしまった。
「楽しそうで何よりだ」
最近の持田さんは本当に忙しそうにしていた。久しぶりに会ったから、楽しそうな姿を見れて僕は満足だった。
「じゃあそろそろ食べよっか」
折れた箸を拾い、持田さん曰くお好み焼きらしきものを口に運んだ。生焼けと焦げのがりがり具合がどうも受け付けない。いわくつきでクセになりそうな味だった。
「……どう?」
「おいしいなぁ」
お笑い芸人がリアクションをするにはおいしいゲテモノだ。
「餅も食べて」
持田さんは容赦なく手づかみで、まだ焼かれていない餅を僕の皿に置いてくる。
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