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「……わかった! 焼餅か」
鈍器みたいな硬さだから気づかなかった。餅は少しでも焼けば焼餅になるのか。
「……そうみたいなの」
顔を伏せる持田さんの髪が肩から垂れた。横目でちらりらと僕を見てはそらし、見てはそらしを繰り返していた。
「焼餅ねぇ……」
「ヤキモチを焼くのは、ふ、普通というか、その……」
「まぁ焼餅だからね」
揚げたら揚げ餅、煮たら煮餅? 煮餅ってなんだ、雑煮か?
「自分じゃコントロールできないの」
「早くいってよ、僕がコントロールしてあげたのに」
僕は身を乗り出した。持田さんは肩を跳ねさせ、まっすぐ僕を見つめていた。
そんなに難しくないんだけどな。
持田さんが目を閉じる。眉間にしわを寄せ、唇をつぐんでいた。
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