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吉見のいなくなった日常を呆然と、あるいは淡々と日過ごした。
正月、実家に出向いたのをきっかけにふと思いついて公式サイトからオーダー画面を開く。
母親の名前と実家の住所で一枚うん十万もするバカ高い絵を買った。
新年の幕開けからクレジットの上限を気にしなくてはいけないなんて、なんという非道なぼったくり画家だろうか。しかもオーダー画面とやらで随分悩んだ。
絵に何かしら希望があれば記載出来るようになっているのだけれど、登場する動物も数もシチュエーションも想像力が乏しく、一つも思いつかなかったからだ。
結局リクエスト内容は全部空欄でお任せにした。
この絵が届く二年後には少しは今年の出来事をいい思い出として宝箱に仕舞い、普通に暮らしていれたらいいなという願いも込めてクリックする。
どんな絵が来ても、一生大切にしようと思った。
絵を飾る場所を頭の中で色々探していたら、鼻の奥がツンとした。
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