神社の娘

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ちゃんと覚えている。 母が家を出たのはあたしが小学校2年の時だ。 ある日、母はいきなり、家出をした。 ずっと後から知ったのだけれど、うちの神社の氏子さんとの駆け落ちみたいな感じ。 母が突然いなくなって1カ月後ぐらいだろうか。 夜、父にこれからファミレスにいくからって、強く手を引っ張られた。 いつもニコニコしている父が、車でお店に向かう間、ずっと怒っていた。 訪れたファミレスには母がいて、私と母はギュッと強く抱きしめあって、頭を何度もなでてもらった。 二人がテーブルに向かって、書類を広げて、深刻そうな顔をしている。 その横で、あたしは、普段ならダメって言われる豪華なチョコレートパフェを、ただ夢中で食べていた記憶があるのだ。 母が席を立った。 「お母さん、行っちゃうの?」 母は腰を落として、私と同じ目線に合わせた。 「ごめんね。お母さん、お父さんより、亜紀ちゃんより、好きな人ができちゃったの」 ガーン。衝撃だった。 この日、この言葉を聞いた時から、私は神を信じていない。 目が覚めた。またこの夢かぁ。何度目だコレ? 定期的にあたし、コレ見るんだよね。 最低の目覚めかた。 目覚まし代わりに使用しているスマホを手に取る。 「もう5時か・・」 ベッドから降りて、カーテンを開けると、明るい日差し。鳥がチュンチュンとさえずっている。 「よっしゃー! 今日も稼ぐぞ。おーっ!!」 あたしは、自らに気合を入れた。
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