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夕方のパトロールで商店街を通った時の事。
小さな女の子が僕達の方へ駆け寄ってきた。
「おまわりさん、こんにちは」
「はい、こんにちは」
「お巡りさんも短冊書くぅ?」
こくん、と首を傾げながら女の子が差し出してくれたのは、赤い紙を切った短冊だった。
見れば、商店街の一角に七夕飾りの笹が出ていた。その近くには彼女のお母さんらしき女性。
誰でも短冊を書いてつるして良いと言う事らしい。
僕は後ろに立っている先輩を振り向いた。
「書いてやれよ」
「はい」
僕は胸ポケットに差しているボールペンを引っ張り出して短冊に願い事を書いた。
「はい、書いたよ」
「ホシが……なんて書いてるの?」
ああ、難しかったかな。欲って感じはさすがに知らないか。
「ホシが欲しいって書いたんだよ」
僕がそう言うと、小さい女の子はケタケタと笑いだした。
ああ、こういう素直な子ってかわいいな。僕も思わず笑ってしまった。
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