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ひとしきり笑った女の子は、ありがとうとお礼を言えるいい子だった。
その後ろ姿を見送って、またパトロールに戻る。
「……ダジャレ?」
「そうです」
「ホシが欲しいって意味わかんないんだけど」
どうやら色々引っかかっていたのを、あの子の前では我慢してくれていたらしい。
何というか、ややねちっこい物を感じるけれど。
「だから、犯人を捕まえたい。この町から悪を一人でも多く駆逐したい。そういう思いの表れです」
「じゃあ、そう書けよ」
「それじゃあ、あの子が何を書いてあるかわかんないじゃないですか」
「結局わかって貰ってなかったろ?」
うぐぐ。
さすがは質問のプロフェッショナル。抉ってくる角度が鋭い。
「良いじゃないですか、笑ってくれたんだから」
「いいや駄目だね。短冊って事は人目にさらされるんだぞ? そこにダジャレって」
「名前書いてないですよ」
「あの子が知ってるだろ。って事は、あの子が短冊を結ぶのを手伝った大人も知ってるわけだ。あーあ、ダジャレポリスってあだ名が今頃ついてるわ」
「いいからもう、パトロールしましょうよ」
「はいはい、ダジャレポリス殿」
これはしばらく言われるな。
僕は短冊にもう少しいい言葉をかけばよかった、と後悔した。
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