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2.
生まれてこの方、星を見たことがない。
そういうと大抵の人は声を揺らす。
それは僕が、何の脈絡もなく唐突にそんな話題を口にしたから――では、もちろんない。それなりに空気は読める方だと思う。そうなれるように努力をしてきた。だってそうじゃないと生きていけないから。
何をしたい?
星を見たい。
そういうやりとりがあった上で、だ。
見られたってどうってことない、とか、天気が悪ければみんな見られないようなものだからね、とか。
なぐさめなのかごまかしなのか、慌ててそう言ってくれる声に何だか申し訳なくなりながらも、そういうことじゃないんだな、と僕は思っている。
天体観測(という行事が、人工の光に覆われていた昔には存在したらしい)の日に雨が降ってしまったとか、流星群の夜に雲があふれていたとか、そんな思い出すらも僕にはない。
僕は星に触れたことがないのだ。
太陽も月も見られるのに、どうして星だけ姿が掴めないのか。
それだけで周りを違うことを知らしめられて、それだけでも分かれば周りと同じと思えるような気がした。だからこそのしたいことなのであって、でもやっぱり叶わない願いなんだと、半ば悟りのような思考も片手に抱えている。
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