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功くんの足音が近づいて、隣に座り込んだ。
「でも、僕も外に出てるよ」
「お前はいいだろ。すぐそこだし。夏希さんたちも何も言わないんだろ」
「うーん」
どうだろう。
「心配はしてくれてるけど」
本当はやめてほしいと思っている、かもしれない。という可能性を完全に否定することはできない。
僕といると気をつかう人は多い。それが嫌だとかいうことではなく、だから夏希さんたちも、言いたくても言えないということがあるかもしれないと思うのだ。
くい、と服の裾を引かれた。ぱふぱふと地面を叩く音がして、どうやら座れということらしい。
僕はそのまましゃがみ込んで、手で後ろを確かめてから腰を下ろした。
「何かあるんだったら、ちゃんと話してくれるだろ」
顔を上げると、功くんが笑った。
「お前のとこは、いつもそうしてる」
「――うん」
確かに、それはそうだ。夏希さんとも慎さんとも、顔を合わせて話さない日はない。
同じように功くんもこうして、僕の顔を見て話をしてくれる。
それは分かるのだ。
だからそうじゃない人も、当人が思っているよりも存外、僕には分かる。それは功くんのことを悪く言ったり、僕のことを不必要だと思っている人。
人間は違うものを厭う。これはだから、ある種当然のことなのだけれど。
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