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 はいた息が響く。  風が吹いて、草むらが揺れた。邪魔だと言われているのか帰れと言われているのか。ありもしない心を想像してしまうのは、たぶん暗闇の中だからだ。視界がないだけでこれほどに惑わされる。  かさり、と。  どこかから音が聞こえてが気がして、俺は曲げていた腰を上げた。ランタンでできた影がぬるりと動いて、がれきが積み上がったあたりに変化はない。  静まり返った夜の世界では、動いている俺の音だけが異質に聞こえる。  額ににじんだ汗を腕で拭って、俺は大きく息をついた。今日はこれくらいにしておくか。  夜に探し物は向かない。けれど昼間は復興(・・)の手伝いをしなければいけないから、どうしてもこの時間にしか動けない。  腰に手を当てて伸ばしがてら仰ぐと、空はふさいでいた。今日は月すらも見えない。だから余計に暗く思えるのだろう。  夜が闇に包まれることを、昔の人間は知っていたのだろうか。  小さな明かりが眩しいことを、過去の人間は想像しただろうか。
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