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☆Ⅲ☆
今日もぼくは、夜空に手を伸ばした。
「何か見えるかい?」
「お星さまが見えるよ」
ドラゴンはぼくの頭を優しく撫でる。
「おまえは強い子だな」
「強くなんてないから、ドラゴンさんに慰めてほしくてここに来たの」
「いいことは起こりそうか?」
「分からないけれど、おばあちゃんにお礼言えたよ。おばあちゃん、笑ってた。幸せそうに笑ってた。だからやっぱり、最期には元気になってくれたんだって、そう思うんだ」
ごつごつした鱗まみれの体に、ぼくは抱き寄せられた。
星の降る高原にはとっても優しいドラゴンが住んでいて、降ってくる星を見守っているんだって。でも、その姿を見た人はほとんどいないそうだ。
ドラゴンと仲良しになって、こうして一緒にいられるってことがいいことなのかもね。
「またお星さまが降って来たら、抱きしめてあげるんだ。お疲れ様、ありがとう、って」
「おまえのような人の子に出会うのは久々だよ。あぁ、よかった。まだ、そうして星を受け止めてくれる者がいるのだね。あの日、出会った日、声をかけたのは間違いではなかったのだ」
「お星さま、今日も綺麗だね」
「そりゃあそうだろうなあ、だってお星様だもの」
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