0話『すぱいという職業』

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0話『すぱいという職業』

 まいねーむいずみつほこしみず、あいゆーずとぅびーあすぱい。     ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  みつがすぱいについて知ったのは、小学6年生のときだった。  その頃はなんとなく、将来はどうなっているんだろうって思っていた。  どこにいて、何の仕事をして、誰といて、どんな人になっているのか。  お花屋さんもいいし、お魚屋さんも憧れる。あと、お肉屋さんと野菜屋さんにそれから靴屋さんも。なりたいものがたくさんあって選べなかった。  ある日、夕方のテレビで、子供たちが楽しそうに話している番組があった。口の動きと話している言葉に違和感を覚えてままに聞いたら、海外のドラマで日本語に直しているやつらしかった。  笑い声が時折入り、とても楽しそうだった。でも内容がわからずにすぐ見るのをやめた。  そういえば、ぱぱが海外のドラマを見ていたことを思い出した。  ぱぱの部屋には、入ったことなくてドキドキした。  ぱぱはみつやままの前でタバコを吸わない。でも部屋で吸うから入っちゃいけなかった。  ぱぱにばれないように、物をなるべく動かさずに探していると、本棚の奥に隠されていた。そこには日本語じゃない言葉の表紙がいっぱいあった。  みつのぱぱはこんなの読むんだーと感心した。  すごくドキドキしたけど楽しかった。  中身を見ようとすると、ぱぱが帰ってきた。すごく焦った様子で、怒られるかと思ったら、ままには内緒といわれた。何を内緒にすればいいのかわからなかった。でも必死に何かを隠すぱぱをみて、内緒にしなければという気持ちがわいた。  海外ドラマはすごくおもしろかった。内容はよくわからなかったけど、みつがぱぱの部屋に入ったときと同じ気持ちがわいてきた。  どうやら、すぱいという職業の話らしかった。  銃片手に相手を倒し、仲間を助けたり、弱い子を守ったりして、やさしくてかっこいいすぱいだった。みつはその姿を夢に見た。自分がすぱいになって誰かを助けている姿を。  その日からみつは、すぱいを目指そうと思った。  ぱぱに内緒っていわれたからいわないけど。
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