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さいごの待ち合わせ
同級生からの便りにはこう書いてあった。
「同窓会の案内、来たか?」
おう、来たぜ。
「何人か、もう先にいってる奴らもいるらしいぜ」
そうかー。じゃあ、そいつらにはしばらく会えないな。
「どうせお前は遅刻するんだろ」
遅刻するんだろうなー。
「同窓会の前に、さいごに1回会えないか?」
お!いいねー!いつだ?
俺は、さいごにそいつと会う約束をした。
大事な約束だったんだ。
もう何年も友人として付き合いがあるそいつ。きっと、今回も俺の遅刻癖をふまえて時間を早めに設定したはず。
そいつはさいごと言った。最後の最期になるんだろう。
よし。今回こそ絶対に遅れないぜ。
遅刻しないで驚かせよう。これが、さいごになるかもしれないんだ。
そう思って、俺は時計をセットした。スマホのアラームをセットした。
設定した時間は
そいつが指定した時間のずいぶん前。
遅れるはずはない時間だった。
どんなに遅れたとしても、俺は約束の時間の5分前にはそこに着くはずなんだ。最悪、その時間ぴったしでも、指定したそいつは俺が遅れると思っている。約束の時間の5分後が本当の約束の時間だったりするんだ。
俺たちはいつもそうだったんだよ。
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