さいごの待ち合わせ

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当日、俺は珍しくちゃんと目が覚めた。仕度もして、家を出た。なんだ、余裕じゃねぇか。腕時計を見ると、まだ30分前。楽勝、楽勝。こんなこともあるんだなー。 やっと、あの変な癖がなおったのか? そんな風に考えられるくらい、余裕があった。もう、待ち合わせ場所のすぐ近くまで来ていた。 やっと「遅刻常習犯」の名前を返上か? 1歩1歩がすごく軽く踏み出せた。道路越しに手紙をくれたそいつが見える。あと5分以上もある。よし! 道路を走る車の音で周りの音は聞こえない。でも、なんとなく気づいてくれると思った。 あと5分。 そいつと目があった。 俺は笑って手をあげた。 あとちょっと。 そいつは一瞬驚いたけど、笑って手をあげた。 車が俺たちの間をクラクションと一緒に通過した。 笑って手をあげてくれたそいつの姿は、もうそこにはなかった。 腕時計の針は、待ち合わせ時刻を差していた。
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