1人が本棚に入れています
本棚に追加
置かれた手紙
は?
どういうことだ?
俺はそこへ走った。友人が立っていたその場所へ。
着いた所には誰もいなかった。ただ、道路脇の柵の所に手紙が挟んであった。ビニールやら、紐やら、重石やらで、頑丈に頑丈に補強されてその手紙はそこにあった。ずっと前からあっただろうそれは、誰かを待っていた。
俺はそれを手にとった。
嫌な予感がした。
手紙の裏には友人の名前が書かれていた。
宛名は俺だった。友人から俺への手紙だった。
どういうことだよ。どういうことなんだよ。
焦りながら俺はそれを開いた。開いて一番始めに書かれていた文は
「どうせお前は遅刻したんだろ」
遅刻してねぇよ。ちゃんと、間に合ったよ。
でも。
読んで読んで、一番下に書かれた日付に俺は膝をついた。
日付は
1年前だった。
俺は「遅刻常習犯」。
今回も遅れちまったようだ。
大事な友人との最期の待ち合わせだったのに。
あと5分。あと5分。
あと5分早くそこに行けたら、何か変わっていたのか?
あと5分遅くいつも通り遅刻していたら、いつも通り会えたのか?
そんなことなかったんだ。
そんなこと、はじめからできるはずなかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!