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なぜ9年前に廃棄されたはずのXIIIが生きているんだ?
デュアルは人間のクローンだから、もしかしてXIIIは元々1体じゃなかったとか?
立ち上がろうにも腰が抜けてて立てない俺の肩をXIIIが撫でる。
「立夏がのえるの元に帰って、俺は処分されるはずだったんだけど・・・」
「XIIIは主張したんだ、『自分の処分はCRDPにとって大きな財産を失うことになる』って。あの当時、人間らしい感情を持っているのは彼だけだったし、オリジナルを生き返らせた唯一無二のデュアルだったからね」
立夏とXIIIのやり取りに呆れていた小野寺さんが、XIIIの代わりに答える。
「XIIIは死にたくなかったんだよ。・・・のえる、君との未来があるって信じていたからだ」
「俺と、の・・・・・・?」
「そうだよ。けれど所有者にはオリジナルが帰った時点で、廃棄処分したと報告しなければならなかった。前例が無いとはいえ、一度定められた規約は簡単には変えられなかった。のえるには、XIIIが生きていることを知られるわけにはいかなかったんだ。XIIIはこの9年間、自分の肉体と頭脳全てをCRDPに捧げて来た。
いつかまたのえるに会えることだけを願って」
小野寺さんはXIIIに、肩の荷が下りたと言わんばかりの安堵した微笑みを向ける。
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