ごふん、ごふん。

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 ***  先に言っておく。  これを読んでいるみんなには、私の愚かさを責める権利があると。  そもそも何故、突然私のところにアプリがダウンロードできるアドレスを載せた迷惑メールが届いたのか?  それはアプリを制作した何者かが、たまたま私のアドレスを見つけて流しただけであったのか?  そうではない。  このアプリのヘルプを最初から最後まで読み込んだ私は、この運命から逃れる唯一の方法に気づいてしまったのである。  つまり――別の誰かに、この恐ろしいアプリをインストールさせること、だ。  このアプリがのDLアドレスを書いたメールを、適当に打ち込んだアドレスに送信する。それが“偶然”現在使用されているアドレスにヒットするまで。良心の呵責がないというのなら、知り合いのアドレスに送りつけてもいいだろう。自分が送信者であることが、その知り合いにバレてもいいのなら。  そもそも奇妙ではないか。いくら半年間、ちまちま“五分”を使い続けたからといって。たった半年で、二十代の健康な女の寿命が残り十三日になるまで減ってしまうなんて、そんな馬鹿なことがあるだろうか。私は最初にアプリを使用した時、どれくらいの数字が表示されていたのか全くみていなかった。もし、私がアプリを最初に起動した時点で、私の寿命は実際のそれより大きく削られてしまっていた状態だったとしたら?私の削れた寿命は、一体どこに行ってしまったのか?  私は十三日が過ぎた今でも、生きている。  アプリがデタラメだった、結局寿命なんか関係なかったのだと、今でもそう思いたい気持ちはある、でも。  これを見た誰か。  時間を買えるアプリ、なんてものがメールで来たら。それが全く知らない赤の他人であったなら、無視して削除することをお薦めする。  他人の寿命を奪って生きながらえた私に、このようなことを言う資格などないと、わかってはいるけれど。
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