溝口水晶の憂鬱

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「ネットの情報によりますと、ウェルテル効果とは有名人や新奇な方法による自殺事件がメディアなどで報じられた後、似たような自殺の連鎖が生じる現象のことです。その名前は、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』がベストセラーになった際に失恋した若者が自殺を図る事例が増えたことに由来します。  また、ウェルテルと同じ方法で自殺する人が続いた為、いくつかの国で、その本は発刊禁止となったようです」 「そう、その自殺方法は、褐色の長靴と黄色のベスト、そして青色のジャケットを着てピストルを使用するといったもので、日本でも方法は違えどもアイドル歌手やアーティストの自殺の後、ファンの後追い自殺が多く起こったよね。また少し古い事例だけど、太宰の入水自殺後もまた然りなの」  なんだ、わざと調べさせたのだ。僕は思った。 「でも、それって少しおかしくないですか? だったらその定義とされている。 ①自殺率は報道後に一気に上がり、その前には上がっていない。 ②自殺が大きく報道されればされるほど自殺率が上がる。 ③自殺の生地が入りやすい地域ほど自殺率が上がる。 のうち、①と②が当てはまらないですよね。だって一人目が飛び降り自殺したこと、殆ど一部のメディアでしか扱ってないですよね」
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